近年、インテリアコーディネートで和モダンテイストを候補にする方が非常に増えています。
和モダンは日本人になじみのある素材や配色を使ったコーディネートで、幅広い年齢層に人気があります。洗練された都会らしさもあり、一般住宅から店舗、ホテルなどどんな空間にもマッチする万能なテイストです。
家や店舗をおしゃれにコーディネートしたいとお考えの方のため、本記事では和モダンコーディネートのコツを解説します。
参考にしたいコーディネート事例もご紹介するので、インテリアでお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
和モダンとは?
和モダンは、古くから伝わる日本の伝統的な要素と現代的なデザインを融合したスタイルです。
現代の日本の住宅はフローリングやドア、クローゼットが住宅の基本仕様となっていますが、かつては畳やふすま、障子などの床材や建具が使われていました。
建築様式は時代とともに変化してきたものの、日本古来の住宅にはさまざまな魅力があります。
日本の文化や気候に合わせて進化した設備や機能に、現代風のデザインをプラスする。これが和モダンの基本であり、コーディネートの際に意識すべきポイントです。
和モダンな内装はどう作る?インテリアコーディネートのポイント
内装を和モダンテイストにコーディネートする際は、次の5つのポイントを意識しましょう。
- 和と洋のバランスを考える
- 背の低い家具で目線を下げる
- 家具やインテリアは自然素材のものを選ぶ
- 和色や伝統色で配色する
- 電球色の照明を選ぶ
ここからは具体的な内容を解説します。
1.和と洋のバランスを考える
和モダンは「和風の魅力と現代の洋風スタイル」を融合したテイストです。
理想的なバランスは和7:洋3ですが、この比率はあくまで目安であり、目指す雰囲気で調整しても構いません。日本らしさや重厚感を出したければ和の比率を高めに、明るさ・軽さを出したい時は洋の比率を増やすのがコツです。
一からコーディネートを考える時は、一つひとつの家具やインテリアを和と洋のどちらのテイストにするか決めておくとバランスを保ちやすいですよ。
2.背の低い家具で目線を下げる
和モダンのインテリアコーディネートでは、和の雰囲気を重んじた空間を意識することが大切です。
かつての日本の生活にはテーブルや椅子という概念はなく、ちゃぶ台や座布団など床に座る生活が基本とされていました。寝室では畳に布団を敷いて寝るのが習慣であり、ベッドが一般家庭で使われるようになったのは昭和中期と比較的最近のことです。
和モダンの空間を作る際は、上記の歴史背景もヒントになります。家具は背の低いものを選び、配置する時は目線を下げることを意識してみましょう。
なお、目線を下げるテクニックには空間を広く見せる効果もあります。狭い部屋のコーディネートでお悩みの方もぜひ取り入れてみてくださいね。
参考
有限会社貞苅産業「ベッドの歴史」
ふかふか布団「寝具(ベッド・布団)の歴史について」
3.家具やインテリアは自然素材のものを選ぶ
インテリアで和を感じさせるには、家具や小物の素材にもこだわりましょう。
おすすめは木や竹、籐(とう)を使ったアイテムです。これらの自然素材があるだけで和の印象を強くすることができます。和の割合を増やすなら床は畳にするのもいいですね。
反対に、金属やガラス、レザーなどを多用しすぎるとモダンな印象が強調されすぎてしまいます。和モダンは和をベースとしたスタイルなので、人工的な要素が増えすぎないよう注意が必要です。
自然素材は癒しや安らぎ、優しさなどを連想させます。温泉旅館を訪れた時にほっとした気持ちになるのは、日本人の心に「和=落ち着き」という潜在意識が根付いているからです。
この潜在意識を呼び起こすことができれば、和モダンのインテリアコーディネートは大成功と言えるでしょう。
4.和色や伝統色で配色する
和モダンのインテリアコーディネートでは配色も慎重に考えなければなりません。
和の印象を強調させるのにメインで選びたいのが日本の伝統色です。インテリアになじむ色で言うと、茶色・ベージュ・アイボリー・グレー・若草色などがおすすめです。
和モダンの空間では彩度が明るすぎると悪目立ちしてしまうので、くすんだ色をチョイスするのがコツです。アクセントカラーを入れるならえんじ色・藍色・橙色・薄紅色などがよく合います。
和モダンには黒も合わせやすいですが、黒の割合が増えすぎると全体的に暗い印象になるため、その他の色でバランスを取るようにしてください。
5.電球色の照明を選ぶ
インテリア上級者は照明の色にもこだわりましょう。
照明には部屋を明るく照らすことと、癒しやリラックス効果をもたらす2つの役割があります。照明を工夫するだけでおしゃれな空間が作れるなら、それを利用しない手はありません。
和モダンの空間には、オレンジ系の明かりがよく合います。光色の種類では「電球色」または「温白色」に該当します。
光の色(色温度)を示すには「ケルビン」という単位が用いられ、ケルビンの数値が低いほどオレンジの色味が強く、リラックスしたい空間に最適です。
反対に、書斎や子供部屋など集中力を高めたい部屋には、ケルビンの数値が高い「昼光色」や「昼白色」を選ぶのがおすすめです。
リビングで読書や勉強をすることがあれば、明るさや色合いを変えられる調光・調色機能が備わった照明を選ぶといいでしょう。もしくは、メイン照明のほかにスタンドライトやテーブルランプなどの間接照明を設置する方法もありますよ。
真似したい和モダンインテリアのコーディネート事例9選
和モダンのインテリアに挑戦しようとお考えの方のため、ここからは参考になるコーディネート事例をご紹介します。
事例1.グレーをベースにしたコーディネートがかっこいい
ベースカラーにグレーをチョイスしたこちらのコーディネートは、スタイリッシュなモダンな雰囲気を強調したスタイル。
和と洋のバランスは2:8と洋が強めですが、全体的に落ち着いた印象があり、日本人が落ち着いて過ごせる空間に仕上がっています。
ソファに座った時に見える格子や木目の割合、植物のバランスが和モダンの雰囲気を絶妙に表現しています。同じ空間でも、角度によって印象が違ってみえる上級コーディネートです。
事例2.和モダン×レトロの組み合わせが可愛い
和室にモダンインテリアをふんだんに盛り込んだコーディネート事例です。和室には和風のものを置かなければいけないと考える方が多いのですが、ナチュラルカラーのアイテムを選べば洋風の家具やインテリアもしっかりマッチします。
テーブルやチェアなど、どこかレトロを感じさせるアイテムが可愛さと癒しも感じさせてくれます。和室の魅力をそのまま活かすことで、居心地のいい空間に大変身しますよ。
事例3.リビングから趣のある中庭を望む
中庭の眺めが美しいこちらの空間は、板張り天井や丸卓が和の雰囲気を上品に演出しています。植栽や照明、隣家の瓦屋根など、すべてが完璧に計算されたコーディネートです。
リビングと中庭が隣り合う間取りのメリットは、天気や季節、時間の移り変わりを自分の目にしっかりと焼き付けられること。まるで高級な温泉旅館にいるような贅沢な時間が流れています。
事例4.和モダンに憧れるならカフェや店舗のコーディネートも要チェック
こちらは表参道にある飲食店「茶洒 金田中」の店内。苔庭を眺めながら食事が楽しめる空間は、洗練された和モダンテイストにコーディネートされています。
シンプルなのに和を感じられるのは、木目のインテリアと優しい色合いの配色がバランスよく配されているから。日中は緑が美しい庭を眺めながら、夜は穏やかな照明に照らされながら癒しのひと時が楽しめます。
自宅のインテリアを考える時は、カフェやレストラン、店舗のコーディネートもヒントになりますよ。
事例5.和モダンなトイレは清潔感が必須
インテリア上級者はトイレのコーディネートにも手を抜きません。モダンな空間に和を感じる木製の棚がアクセントになったこちらの空間は、日本人が好む配色でまとめられています。
照明は小ぶりなペンダントライトとコーブ照明ですっきりと。清潔感もあり、ずっといたくなるような癒しの空間が広がっています。
部屋の模様替えなどで新たなテイストに挑戦する場合、トイレのような小さな空間は失敗しにくいと言われています。和モダンインテリアに憧れる方は、トイレからコーディネートしてみるといいかも知れません。
事例6.日本人であることを誇りに思う和の空間に癒される
低い位置に設置された窓や照明、肌触りが気持ちいい畳など、日本の住宅の礎が詰め込まれた素敵な和室です。窓のそばは足を下ろせる掘りごたつ式になっており、読書や勉強など集中したい時に座りたくなる場所です。
こちらのコーディネートは全体が和で統一されていますが、一つひとつのアイテムが洗練されているためモダンな印象を与えます。行灯風の照明が和の雰囲気を美しく演出しています。
事例7.豊かな庭を望む間取りは平家の特権
インテリアは空間(室内)をいかに美しく見せるかを考えますが、そこに完璧なエクステリア(外構)が加わると最強のインテリアが完成します。
こちらはリビングの大きな窓から望む庭の景色が贅沢なコーディネートです。家にいながら豊かな自然を感じることができる贅を尽くした空間ですね。
室内とテラスの木目が庭と建物を自然に調和させたコーディネートは誰にでも真似できるものではありません。
事例8.6畳の和室は工夫次第で狭さを感じさせない空間に
6畳の和室はコーディネートが難しいイメージがありますが、家具やインテリアの選び方次第では和室と思えない空間づくりが可能です。
和室コーディネートでは、自然素材に近い色でまとめるのが鉄則です。畳はそのまま見せるのもいいですが、モダンな雰囲気を出すなら同系色のラグを敷くことをおすすめします。
和室ならではの特徴を上手に隠しつつ、ナチュラルな配色で品よくまとめた上品な事例です。
事例9.和の魅力を現代風にアップデートしたような空間
優しく穏やかな色合いが印象的なこちらの空間は、もともとモダン調のデザインだったそう。そこに和のエッセンスをプラスしたことで、上品な和モダンテイストに仕上がっています。
テーブルや座布団、棚、植物など和を感じさせるアイテムが多いのに、モダンな雰囲気もしっかり感じられる見事なコーディネートです。
和モダンな内装は日本人の心を癒してくれる魅力がいっぱい!
和モダンは、伝統的な和風の要素と現代的なデザインを融合させた魅力溢れるスタイルです。
自然素材を使用したり、落ち着きのある配色にしたりすることでおしゃれな和モダンスタイルに近づけることができます。コツを押さえれば比較的挑戦しやすいテイストなので、本記事を参考に素敵な和モダンインテリアを完成させてください。