屋上テラスのある家に暮らす。メリット・デメリットと後悔しないポイントを解説

おしゃれな屋上テラス

近年の住宅市場では、屋上テラスのある家が注目を集めています。

屋上テラスのある家は限られた土地を有効活用でき、狭小地や変形地でも自然とのふれあいを感じられます。また、家庭菜園やBBQなど、庭がなければできない趣味を楽しめるのも大きな魅力です。

一方で、屋上テラスにはいくつか注意点も存在します。家づくりで後悔しないためには、メリットとデメリットの両方を理解した上で、その必要性を検討しなければなりません。

本記事では、屋上テラスの魅力や設計時に考えるべきポイントを解説します。おしゃれな参考事例や後付けリフォームについてもまとめているので、屋上テラスに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

屋上テラスとは

屋上テラスとは、建物の屋上部分に設けられたアウトドアスペースのことを指します。

庭やバルコニーとは異なり、屋上テラスは建物の最上階に位置するのが特徴です。都市部の限られた土地を有効活用する方法として人気が高まり、居住空間を拡張できる点からも多くの人が屋上テラスを取り入れています。

人目を気にせず過ごせるので、プライバシーを確保しつつ開放感も味わえる魅力的な空間です。

屋上テラスのメリット

家の模型と図面

屋上テラスにはさまざまなメリットがあります。

実際に屋上テラスのある家で暮らす人が感じる魅力ポイントは次の通りです。

  1. 団らんの場になる
  2. 家庭菜園やガーデニングができる
  3. 洗濯物が干せる
  4. ペットスペースとして活用できる
  5. 眺望が楽しめる

ここからはそれぞれのメリットを詳しく解説します。

1.団らんの場になる

屋上テラスは、家族や友人との団らんの場として最適なスペースです。

外の空気を感じながらバーベキューを楽しんだり、夜には星空を眺めながらリラックスしたりと、充実した時間を過ごすのに理想的です。都市部のように屋外スペースが限られているエリアでは、プライベートな屋外空間として役立ちます。

また、開放的な場所で過ごすことは、家族の絆を深めるきっかけにもなります。リビング以外にも団らんを楽しめる場所があれば、日々の暮らしをより豊かなものにしてくれるはずです。

2.家庭菜園やガーデニングができる

屋上テラスでは、家庭菜園やガーデニングを楽しむこともできます。

周囲を高層ビルに囲まれていなければ基本的に日当たりは良好で、植物を育てるのに最適な環境です。自然に触れる時間を持つことは、ストレス解消や気分転換にもつながります。

お子さんがいる家庭なら、家族みんなで野菜を育て、一緒に食べる食育体験もできます。日常生活の中で健康と教育の両方にアプローチできるのは、家庭菜園ならではのメリットです。

3.洗濯物が干せる

屋上テラスの広々とした空間は、洗濯物を干す場所としても活用できます。

天気のいい日は部屋干しよりも短時間で洗濯物が乾くので、家事効率を上げられます。屋上というプライバシーが確保された場所に干せるので、周囲の目を気にせずに済むのも嬉しいポイントです。

また、外干しには消臭やダニ予防の効果もあり、健康面にもいい影響を与えます。十分なスペースがあれば、大きな布団やシーツも干すことができるでしょう。

4.ペットスペースとして活用できる

ペットを飼っている家庭にとって、屋上テラスは理想的な遊び場となります。

安全対策さえしっかりと行えば、猫や犬が自由に動き回ることができるペットスペースとして活用できます。外の空気を味わいながら適度な運動ができる空間は、ペットの運動不足やストレス解消にも効果的です。

飼い主とペットが一緒に過ごす時間も増えるため、より豊かなペットライフが実現します。

5.眺望が楽しめる

屋上テラスの最大の魅力は、街並みや自然が広がる眺望を楽しめる点です。

少し前までは、住宅の屋上に特別なスペースを設けるという概念が一般的ではありませんでした。生活様式やライフスタイルの変化に合わせて、近年はコンパクトな間取りの需要が高まりつつあります。

省スペースの家でも、開放的な空間や景色を楽しみたいというニーズに応えるのが屋上テラスです。屋上テラスに出ると開放的な視界が広がり、都市の風景や自然の景色を存分に楽しむことができます。

日常の中で、しかも自宅にいながら、特別な瞬間を感じられるのはこの上ない贅沢です。何気ない暮らしに非日常な体験を取り入れられるのは、屋上テラスならではのメリットと言えるでしょう。

屋上テラスのデメリット

家の模型と工具

住む人の暮らしを豊かにする屋上テラスには、注意すべきデメリットもあります。

  1. 落下防止の対策が必要
  2. 排水しにくい
  3. コストがかかる

ここからはそれぞれのデメリットを詳しく解説します。

1.落下防止の対策が必要

屋上テラスを設置する際には、安全対策が必要不可欠です。

とくに、小さな子どもや高齢者、ペットがいる家庭では落下防止のための柵やバリアが必須です。万が一の事故を防ぐため、十分な高さと強度を持つ柵を設置することが推奨されます。

柵は定期的にメンテナンスを行い、劣化や破損がないか確認することも大切です。

また、落下に注意しなければいけないのは人やペットだけではありません。屋上テラスで使用するもの(プランターやおもちゃなど)は柵の近くに置かないよう注意が必要です。

強風が吹くとものが飛んでいく恐れもあるので、風が強い日は室内にものをしまうなどの対策を徹底してください。

2.排水しにくい

屋上テラスは、排水に関する問題が発生しやすい場所です。

屋上にスペースを設けると、屋根の構造は陸屋根(フラットルーフ)になります。陸屋根とは勾配がほとんどないフラットな屋根の形状のことで、屋上にたまった雨水などの排水がしにくい難点があります。

屋根からの浸水は、建物が劣化する大きな原因の一つです。排水設備が整っていない、あるいは防水工事が不十分な場合、水漏れや湿気などのリスクが高まります。

さらに、積雪の多い地域では屋上テラスはあまり適していません。積雪によってテラスの使用が制限されるだけでなく、重い積雪が屋根に負荷をかけ、構造的な問題を引き起こすリスクがあるためです。

屋上テラスを取り入れるには、排水システムや強度に特別な配慮が必要であることを念頭に置いてください。

3.コストがかかる

屋上テラスを設置するには、バルコニーや庭に比べてコストが高くなる傾向にあります。

これは防水工事や安全対策に費用がかかるためで、初期投資だけでなく、定期的なメンテナンス費用も考慮しなければなりません。

屋上テラスの施工に対応している業者を探す必要もあり、コストと時間の両面で余裕を持った計画が必要となるでしょう。

屋上テラスで後悔しない!設計時に考えるべきポイント

チェックマーク

屋上テラスの設計では、次の4つのポイントを考慮する必要があります。

  1. 防水
  2. 安全
  3. プライバシー
  4. メンテナンス

ここからはそれぞれのポイントを詳しく解説します。

1.防水

屋上テラスの設計でもっとも重要なポイントの一つが、防水対策です。

テラスは雨風にさらされる場所であるため、適切な防水工事が必須です。防水の備えがないと、雨水が建物内部に浸入し、漏水やカビの原因になる可能性があります。

防水対策には、防水シートや防水塗装の選定だけでなく、排水口の位置や勾配の設計も重要です。初期段階でしっかりとした防水対策を講じることで、長期的に安心して屋上テラスを利用できます。

2.安全

屋上にテラスを設計する際には、安全性の確保が不可欠です。

とくに、小さな子どもや高齢者、ペットのいる家庭は、しっかりとした柵やバリアを設置する必要があります。床材を滑りにくい素材にすると、雨天時などの転倒リスクも軽減できます。

安全性の担保はハウスメーカーや施工業者任せにせず、施主自身が使用上の注意点を把握しておかなければなりません。

柵の高さや強度、隙間の幅など、安全基準を満たす施工がなされているかは念入りに確認しましょう。

3.プライバシー

屋上テラスは外部に開かれた空間であるため、プライバシーの確保も考慮すべきポイントです。

近隣に高層マンションなどがある場合、屋上部分が見えやすくプライバシーの確保が難しくなります。ゲストを招いてバーベキューをしたり、子どもの遊び場にしたりする際は高所からの視線を遮る工夫が必要です。

隣接する建物からの視線を遮るためには、フェンスや植栽を効果的に配置することが推奨されます。また、遮光カーテンやパーゴラ、オーニングテントを利用すると、開放感を損なわずにプライバシーを守ることができます。

4.メンテナンス

雨風や日差しにさらされる屋上テラスは、定期的なメンテナンスも欠かせません。

防水シートや排水溝は年に一度の点検を行い、トラブルを未然に防ぐための対処が必要です。悪天候の後や季節の変わり目などは、落ち葉やゴミが排水口を塞いでいないかを入念にチェックしましょう。

メンテナンスに手間をかけたくない場合は、耐久性の高い床材を選ぶのも一つの選択肢です。不安な部分は施工業者に点検を依頼するのもいいでしょう。

屋上テラスのおしゃれな事例3選

屋上テラスの設置を検討している方のため、ここからはおしゃれな事例をご紹介します。

空間の使い方やプライバシーの確保など、参考になるアイデアをじっくりとご覧ください。

1.開放的な空間はまるでカフェテラスのよう

おしゃれなカフェを訪れたような気分にさせてくれるこちらの屋上テラスは、埼玉県にある工務店「studio mug」が手がけたもの。開放的な空間は、ガーデニングやバーベキュー、星空鑑賞など使い方は自由自在です。

壁を高く取っているので、落下防止の柵やフェンスを自作する必要はありません。家づくりのプロに相談すると、快適性と機能性、デザイン性のすべてを叶える設計を提案してくれますよ。

2.屋上テラスのある賃貸も選択肢の一つ

画像引用:株式会社光正工務店

屋上テラスのある暮らしは持ち家以外でも叶えられます。神奈川県川崎市にあるこちらの物件は、屋上テラス付きの戸建て賃貸住宅です。

広すぎず狭すぎない空間は、家族とゆったり過ごすのに最適です。手洗い場があるので、家庭菜園やガーデニング、子どものプール遊びなど幅広い使い道ができます。

テラスを囲む壁は高さがあり、安全面やプライバシー確保の面でも安心です。

3.趣味のガーデニングを思い切り楽しめる空間

屋上テラスを趣味のガーデニングスペースにした事例です。草木や花に囲まれる暮らしは、人生を豊かなものにしてくれます。

オーニングテントが設置された日陰スペースには簡易水栓もあり、水やりや掃除の際に便利です。これほどまでに広いスペースを確保できるのは、四角い家ならではのメリットです。

使う人のこだわりがつめこまれた魅力あふれる空間に仕上がっていますね。

屋上テラスとベランダはどちらが便利?

眺望のいいベランダ

屋上テラスとベランダにはそれぞれ異なる特徴があるため、利用目的やライフスタイルに合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

屋上テラスは広々としたスペースを確保できるため、バーベキューや家庭菜園、子どもやペットとの遊び場など、大人数での利用やアクティブな用途に最適です。眺望も楽しめるので、特別なパーティにもふさわしい空間であると言えます。

ただし、屋上テラスへ行くには階段を登らなければならないため、足腰の弱い人や高齢者は不便を感じることがあるかもしれません。

一方、ベランダは日常の延長として使いやすいのが特徴です。洗濯物干しや家庭菜園など、家事に利用する場合にはベランダの方が利便性は高いでしょう。

デメリットがあるとすれば、屋上テラスに比べて面積が小さく、子どもやペットの遊び場、バーベキューなどの用途には不向きな点があげられます。

多様な用途を楽しみたい方には屋上テラス、日常的な家事に使いたい方にはベランダが向いています。

屋上テラスは後付けリフォームできる?

新築工事

屋上テラスは後付けリフォームで設置できますが、いくつかのポイントに注意が必要です。

大前提として、建物自体に屋上テラスを支えられる強度がなければ、後付けリフォームはできません。屋上に追加の荷重がかかるため、木造住宅や古い建物では耐震性に不安が残ります。

地域によっては、建物の高さや用途に関する制限が設けられている場合もあります。制限があると屋上テラスの後付けは許可されないので、まずは後付けが可能かどうかをリフォーム業者に確認しましょう。

屋上テラスの魅力を最大限に引き出す家づくりを考えよう

新築一軒家

屋上テラスは、居住空間を広げ、開放的な生活を楽しむための魅力的な選択肢です。

多様な活用方法があるので、屋上テラスのある暮らしを想像するだけでワクワクしたり、楽しい気持ちになったりします。一方で、安全対策やプライバシー、メンテナンスなどさまざまな課題もクリアしなければなりません。

屋上テラス以外では、ベランダやバルコニーでも似たようなメリットが得られます。家づくりの際は、利用目的やライフスタイルに合わせて最適な方法を検討しましょう。

この記事の監修者

小山田

小山田 剛

一級建築士事務所CoboLabo代表。 一級建築士兼、管理建築士。お客様のご予算帯に合わせた最適な建築・インテリア設計の提案を得意としている。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

フリーランスとして活動するエクステリアプランナー。
2級エクステリアプランナー・インテリアコーディネータ―の資格所有。
住宅の外観から内装デザインまでを得意としており、自身の住宅デザインも手掛けている。

目次