土間のある家に住もう。おしゃれな事例や間取り、デメリットなど

土間のある家

日本の伝統的な建築スタイルでありながら、現代の住宅においても実用的なスペースとして再評価されている「土間」。

住宅関連の雑誌やSNSを見ると、土間のあるおしゃれな家が多数取り上げられています。用途が幅広く、ライフスタイルに合わせて活用できる点は土間の大きなメリットだと言えるでしょう。

本記事では、土間のある家にはどのような魅力があるのかを深掘りしてご紹介します。マイホーム計画で土間を採用しようか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

土間のある家とは

土間とは、玄関から居室の間にある土足で立ち入ることができる空間を指します。

日本古来の住宅には、床板を敷かずに地面または土のままのスペースがあります。室内にあり、雨や風にさらされずに作業ができることから、炊事場や農具の収納場所として活用されていました。

通常、土間は建物の主要な入口(おもに玄関)に設けられます。多湿な日本の気候に適応すること、また作業後の汚れを簡単に掃除できることから、農村や漁業が盛んな地域で重宝されていた歴史があります。

また、玄関と居室をつなぐ土間は来客とおしゃべりを楽しむ場としても最適です。炊事や収納、作業、団らんと幅広い使い道ができることから、住宅の機能性を高めるスペースとして発展しました。

その後、日本人のライフスタイルの変化によって土間のある家は少なくなりましたが、近年はその多用途性が見直され、実用的かつおしゃれなスペースとして再解釈されるようになりました。

土間の活用方法

一般的な土間の用途には次のものがあります。

  1. 収納
  2. 趣味スペース
  3. 団らんの場

土間の使い方に正解はありません。住む人のライフスタイルによって自由な使い方ができるので、暮らしがより快適なものになるよう活用方法をイメージするといいでしょう。

ここからはそれぞれの活用方法を詳しく解説します。

1.収納

土間の活用方法としてもっともイメージしやすいのが、収納スペースです。

日用品や季節外のアイテム、スポーツ用品、ガーデニング用品など、室内に置くにはかさばるものや汚れやすいものの保管場所として適しています。広いスペースを確保すれば、自転車やバイク、ベビーカー置き場としても最適です。

家の中には入れたくない。でも野ざらしにもしたくない。そんなものを収納する場所として土間が大活躍します。

2.趣味スペース

土間は屋外での趣味を楽しみたい方にもおすすめです。

キャンプや釣り、家庭菜園などで使うアイテムは、場所を取る上に汚れが気になります。物置を設置するスペースが確保できない場合は、土足のまま作業できる土間が非常に便利です。

さらに、土間を趣味スペースとして楽しむことには、自分のお気に入りアイテムを居室から眺められるというもう一つのメリットがあります。気になった時にすぐメンテナンスや掃除ができるので、趣味の時間がより一層楽しくなるでしょう。

3.団らんの場

土間は家族や友人との団らんの場としても活用できます。

あたたかい季節は開放的なカフェ風に、寒い季節にはストーブを設置して居心地のいいコミュニケーションスペースとして楽しめます。子どもやペットの遊び場にもなるので、親御さんは家事をしながら見守ることも可能です。

土間ならではの開放感と機能性を活かすことで、大切な人と充実した時間を過ごすことができるでしょう。

土間のある家はデメリットが多い?

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土間のある家にはさまざまなメリットがある一方で、いくつか注意点もあります。

その一つ目が、寒さや底冷え対策です。冬季は土間スペースが寒くなりやすく、居室との寒暖差が大きくなります。

この寒暖差によって結露が生じると壁や天井、床の劣化が進み、断熱性能に影響を及ぼします。この問題に対処するには、二重サッシや床暖房システムの設置が効果的です。

二つ目は、土間をつくることで生じる段差です。小さな子どもや高齢者の転倒リスクを減らすため、手すりや腰掛け用のステップの設置が必要となるでしょう。

最後は、土間のある家を設計・施工できる業者を見つけることです。土間のある家を建てるには、その特殊な構造を理解し、適切に施工できるハウスメーカーや工務店を見つけなければなりません。

このように、土間のある家にはその特性上の注意点があります。一見するとデメリットに捉えられますが、これらの点を一つひとつクリアしていけば土間のある家の魅力を最大限に引き出すことができます。

家づくりで後悔しないためにも、寒さ対策と段差のケア、業者探しは納得できるまで十分に検討してください。

土間のある家づくりで決めるべきこと

土間のある家づくりを検討中の方は、次の3つのポイントを決定する必要があります。

  1. 素材
  2. 広さ(動線)
  3. 設備

ここからは具体的な内容を解説します。土間のある家づくりで決めるべきこと

1.素材

土間の素材選びは、その耐久性やメンテナンスのしやすさ、見た目に大きく影響します。

これまでは自然石やコンクリートを使用するのが一般的でしたが、最近では環境に優しいリサイクル素材やモダンなデザインのタイルも人気です。

素材は土間の使用目的や使用頻度、家の全体的なデザインと調和することを考えて選ぶことが大切です。適切な素材選びによって、土間はより機能的かつ魅力的な空間に変身します。

さらに、耐久性が高い素材を選べば、将来的に発生するメンテナンスコストを抑えることも可能です。色やパターンも豊富なので、使い勝手とメンテナンス、インテリア性のすべてを考慮したものを選びましょう。

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2.広さ(動線)

土間の広さと動線の設計は、家全体の使い勝手を大きく左右します。

十分なスペースを確保すれば、収納や趣味のスペースとしての機能を最大限に引き出すことができます。動線に関しては、家の入口から土間を経由して、ほかの部屋へとスムーズに移動できるよう設計することが大切です。

設計の初期段階で家族のライフスタイルに合わせた広さと形状を検討し、必要に応じてハウスメーカーや工務店と相談することが推奨されます。適切な動線設計は日常生活でのストレスを減らし、訪問者にも快適な印象を与えます。

3.設備

土間に設置する設備の種類は、その使用目的によって大きく異なります。

趣味スペースとして使う場合は、作業台や専用のシンクなどが必要になるかもしれません。団らんの場としての用途であれば寒さ対策が必須です。

目的に応じた設備を整えることで、土間の機能性をさらに向上させることができます。

土間のある家の事例5選

土間のある家づくりを検討中の方のため、ここからはおしゃれな事例を5つご紹介します。

1.目前に広がるおしゃれ空間がまるでカフェのよう

キッチンを中心にL字の土間が広がるこちらの空間は、千葉県にある工務店「アールプラスDM」が手がけた住宅です。おしゃれなカフェを訪れたような気分になれるハイセンスな事例です。

アールプラスは土間のある家づくりの実績が豊富で、多用途な使い道を提案してくれます。趣味スペースや作業場、収納場所、子どもの遊び場など、土間には無限の使い方が広がっています。

4枚目はリビングに土間を設置した事例です。ちょっぴり大胆かなと思う設計も、実際に暮らしてみると非常に居心地がよく、日々の暮らしを豊かに彩ってくれるでしょう。

2.開放感重視。多用途なスペースが実用性&デザイン性を両立

「永く使える、変えられる」がコンセプトの無印良品の家でも、土間のあるレイアウトが人気を集めています。

玄関の扉を開けると、そこに広がるのは開放感あふれる玄関土間。インテリアは無印良品ならではのシンプルなアイテムで統一され、スタイリッシュな印象に。

収納ケースや子どものおもちゃを置いても広々としたスペースを確保でき、玄関土間で過ごす時間が楽しくなりそうです。シンプルな構造で掃除の手間を減らせるのも嬉しいポイントです。

3.木のぬくもりと大きな窓から差し込む日差しが心地よい土間

こちらは群馬県の工務店「四季の住まい」が手がけた事例。リビングの大きな窓に面した土間にやわらかな日差しが差し込み、あたたかい雰囲気が広がります。

段差に腰かけて外を眺めるのもよし。ソファに寝そべって寛ぐのもよし。土間があるだけで思い思いの過ごし方ができそうです。

日当たりのいい土間は、植物やペット用のケージを並べるのにも最適です。土間の奥にある暖炉もいい味を出していて、全体的に調和の取れた空間に仕上がっています。

4.古民家を現代風にアップデートしたような上品な空間

作業スペースとして土間を広く取ったこちらの事例は、埼玉県にある「三幸住宅」の作品。大工による設計が自慢です。

格子の扉を開けると、まずは長く延びる通り土間が広がります。室内スペースにつながる扉の先には、またしても土間スペースが。室内の土間は空調が効く設計なので、季節を問わず作業できるのが魅力的。

土間から見る和室は日本の伝統を感じさせる雰囲気で、その美しさにうっとりしてしまいます。日本古来の住宅の素晴らしさを体感させてくれる、まさに芸術作品のような事例です。

5.趣味を思う存分楽しめる大人の遊び場

東京のリノベーション「nuリノベーション」が手がけたこちらの事例では、自転車やスニーカーなど住む人の趣味を楽しむスペースとして土間を活用しています。

約3畳ある広い土間に家族の「好き」を詰め込んだ魅力あふれる空間です。日当たりもよく、天気のいい日は土間の窓から外に出てガーデニングも楽しめます。

土間のある家を建てるには、ハウスメーカーや工務店の技術力が問われます。実力のある会社であればリノベーションでも理想の空間を叶えてくれるので、業者選びは慎重に行いたいものです。

6.土間をインテリアスペースとして活用する贅沢な間取り

土間スペースにお気に入りのインテリアをディスプレイし、何気ない毎日を特別なものに変えてくれるこちらの事例は、栃木県の工務店「NASU CLUB」によるもの。

作業場でも収納スペースでもない贅沢なレイアウトは、まるでおしゃれなセレクトショップにいるような気分にさせてくれます。土間をまたいで設置されたワークスペースもナイスアイデアです。

土間のある家で暮らしを豊かに彩ろう

多様な使い方ができる土間は、住む人の暮らしを豊かで快適なものに変えてくれます。

収納スペースとして活用するのもいいですし、趣味や団らんの場としても大活躍の空間です。土間があることで家全体の機能性が向上し、日常生活においても多くのメリットを享受できます。

土間のある家づくりでは、素材の選択から広さや動線の計画、適切な設備の設置に至るまで綿密な設計が成功の鍵となります。これらのポイントを踏まえた上で、自分のライフスタイルに合った家づくりを楽しんでくださいね。

この記事の監修者

小山田

小山田 剛

一級建築士事務所CoboLabo代表。 一級建築士兼、管理建築士。お客様のご予算帯に合わせた最適な建築・インテリア設計の提案を得意としている。

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この記事を書いた人

フリーランスとして活動するエクステリアプランナー。
2級エクステリアプランナー・インテリアコーディネータ―の資格所有。
住宅の外観から内装デザインまでを得意としており、自身の住宅デザインも手掛けている。

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