近年、住まいの中心空間となるリビングを2階に設計する間取りが人気を集めています。
2階リビングは、日当たりや風通し、プライバシー保護などさまざまなメリットがあります。一方で、階段の上り下りや家具を搬入する手間など、いくつか懸念点があるのも事実です。
戸建て住宅の新築を検討している方のため、本記事では2階リビングのメリット・デメリットを詳しく解説します。
参考にしたい事例や、家づくりの先輩たちが感じる後悔ポイントもまとめているので、マイホーム計画でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
2階リビングのメリット
リビングを家の2階にするメリットには次のものがあります。
- 日当たりがいい
- 風通しがいい
- プライバシーを守れる
- 騒音が気になりにくい
- 建物の強度が高い
- 眺望がいい
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
1.日当たりがいい
2階リビングのもっとも大きなメリットは、1階リビングに比べて採光を取り入れやすいことです。
住宅密集地では周囲の建物が障害物となり、間取りによっては日当たりが不十分と感じてしまいます。仮に近隣の建物の影になる位置だとしても、高窓や天窓を設置することで採光を取り入れやすくなります。
家族が集うリビングは、快適で明るい空間であることが望ましいです。適度な自然光は心理面にもポジティブな影響を与えてくれるので、日当たりに不安のある立地では2階リビングを検討してみるのがいいかもしれません。
2.風通しがいい
建物の上層は、下層に比べて風が通りやすい傾向にあります。
リビングを2階にすると空気の流れがよくなり、室温を快適に保つことができます。空気がスムーズに流れる空間は、空気質も安定しやすいです。
さらに、日当たりと風通しが良好な空間は洗濯物を乾かすのにも最適です。急いで乾かしたいものがある時は、2階リビングに干すことで家事効率アップにつながります。
3.プライバシーを守れる
地上から離れた2階にリビングを設けることで、外からの視線を効果的に遮ることができます。
住宅密集地や人通りの多い道路に面していると、外からの視線が気になってしまうもの。カーテンなどで対策することはできますが、日中にカーテンを閉め切ってしまうのは避けたいですよね。
2階リビングなら、地上から距離があるので人の気配を気にせずに済みます。家族のプライバシーも守れるので、時間を気にせず自由な過ごし方が叶います。
4.騒音が気になりにくい
2階リビングには、車のエンジン音や近隣の生活音が軽減されるメリットもあります。
実はあまり知られていませんが、1階と2階では周囲の音の聞こえ方に差があります。道路に近い分、1階の方が近隣の生活音が大きく聞こえてしまうのです。
せっかく夢のマイホームを手に入れても、騒音が気になってしまっては平穏な暮らしを送ることはできません。リビングを2階にすることが騒音対策になるなら、住宅密集地では2階リビングを前向きに検討してみるのもいいかもしれません。
5.建物の強度が高い
リビングを2階にする間取りは、地震や強風による揺れに備えるための構造的な強化が必要です。
耐力壁が増えることから、1階にリビングがある家に比べて建物の強度が高いと言われています。近年は、自然災害に備えた耐震性・耐久性の高い家の需要が高まりつつあります。
長く安全に住める家を求める方にとって、2階にリビングを設ける家は大きな安心材料となるでしょう。
6.眺望がいい
2階リビングは部屋から広範囲を見渡せる眺望も人気です。
1階からは見えない景色が広がるので、リビングで過ごす時間がより充実したものになります。朝日や夕暮れを見ながらの食事は、一層味わい深いものになるでしょう。
眺望の良さは住宅の価値を高める要素の一つです。空や緑が楽しめるリビングは、暮らしの幸福度を高めてくれるかもしれませんね。
2階リビングのデメリット
2階リビングにはさまざまな魅力がありますが、デメリットと捉えられる要素もいくつかあります。
- 階段の昇り降りが負担になる
- 室内が暑くなりやすい
- 1階の様子がわかりにくい
- 大型家具の搬入に手間がかかる
- 売却しにくい可能性がある
ここからはそれぞれのデメリットも詳しく見ていきましょう。
1.階段の昇り降りが負担になる
2階にリビングがある家は、日常的な階段の昇り降りが発生します。
リビングは住まいの中心となる空間であり、家にいる間の大半を過ごす場所です。そこに行くまでに苦労を感じてしまうのであれば、それは快適な空間とは言いにくいでしょう。
階段は高齢の家族や小さなお子さんがいる家庭にとって、大きな負担となる要素です。転倒やケガを防ぐには、手すりの設置や安全対策が必要となります。
2階リビングを検討する場合は、将来的にどうかという点をしっかりと考える必要があります。
2.室内が暑くなりやすい
熱は高い場所に向かって上昇するため、2階リビングは室内が暑くなりやすいです。
とくに夏場は冷房機器の使用頻度が増え、電気代が高くなる可能性があります。メリットとして述べた日当たりのよさが、季節によってはデメリットとなりうる側面があるのです。
また、2階リビングは生活の中心が2階となるため、冬場は1階の室温調節が難しくなることも。1階に寝室や子ども部屋をつくる場合は、寒さ対策も同時に行う必要があります。
室内の暑さ対策としては、遮光カーテンや外付けブラインドなどの日射を遮る工夫が有効です。ただし、その設置にも手間や費用がかかる点には注意が必要です。
3.1階の様子がわかりにくい
2階リビングには、1階の様子がわかりにくいというデメリットもあります。
家族の帰宅や来客に気づかず、コミュニケーションが取りにくいと感じることがあるかもしれません。家の外の小さな音も聞こえにくいので、周辺の異常に気づかず、セキュリティ上の不安を招くリスクも心配です。
対策としては、高性能のインターフォンや人館センサーを設置するなどの方法があります。防犯を強化するなら、1階の窓に防犯柵を設置するのもいいでしょう。
家族間のコミュニケーションは、帰宅後に2階リビングを通って各自の部屋に行く間取りにするのがおすすめです。
4.大型家具の搬入に手間がかかる
2階リビングへ大型家具を搬入する際は、1階リビングへの搬入に比べて困難が伴います。
玄関から階段、リビングまでの通路が狭い場合、家具の大きさによっては搬入できないこともあります。そういったケースでは2階の窓から搬入する手段を取りますが、クレーン車が必要になれば人力で搬入するよりも費用は高額です。
スムーズに搬入することを最重視すれば、家具選びにも制限が生じます。家具を購入する際は、サイズや組み立て前の状態などをしっかりとチェックしなければなりません。
5.売却しにくい可能性がある
2階リビングの家は市場での需要が限られてしまうことがあり、売却時に買い手が見つかりにくいケースが想定されます。
とくに、年配者や小さな子どもがいる家庭からは敬遠されてしまう傾向が強いです。住宅市場はトレンドが常に変化するため、現時点で将来的な市場価値を予測することは難しいでしょう。
とはいえ、売却しにくいことはあくまで可能性に過ぎません。先述した通り、2階リビングの家にはさまざまなメリットがあるので、両者を比較しながら満足のいく家づくりを進めていくことが大切です。
2階リビングはやめた方がいい?後悔したと感じる理由
階段移動や夏の暑さ、防犯面といった2階リビングならではのデメリットは、住みはじめてから負担や不安につながることがあります。
2階リビングを採用した家づくりの先輩たちに話を聞くと、
- 買い物した荷物を2階に運ぶのが大変
- 夏は想像以上に熱い
- 家族の帰宅に気づかないことがある
- 階段から冷蔵庫を搬入できず、追加費用がかかった
といった声がありました。
一方で、2階リビングはやめた方がいいと後悔する人はほとんどいないのも事実です。すぐに慣れるのと、デメリット解消のために対策すればそれほど気にならないという方が多いようです。
マイホーム計画の時点でデメリットよりもメリットが上回ると感じたら、2階リビングを採用すべきです。反対に、不安が拭えないのであれば別の間取りも検討するのがいいかもしれません。
2階リビングを採用した住宅の事例【画像あり】
ここからは、2階リビングを採用した住宅を画像付きでご紹介します。
どれも素敵な事例なので、2階リビングを検討中の方は家づくりのヒントを見つけてくださいね。
事例1.やわらかな日差しが心地よい。家族が集まるあたたかな空間
全体がグレーで統一されたこちらのリビング。窓から差し込む日差しが心地よく、快適性が保たれているのがよくわかります。
全館空調を採用したことにより、洗濯物が乾きやすいという恩恵も受けられているそう。見た目と機能性の両立を実現したおしゃれな2階リビングです。
事例2.窓の外に広がる絶景にうっとり。すぐそばのグリーンには癒し効果も
リビングの窓から望む景色が見事なこちらの事例は、解放感たっぷりの癒し空間。大きな窓から遠くを眺めるのもいいですが、別の角度から飛び込んでくる緑も美しいですね。
季節の移り変わりを空間全体で感じられるのがうらやましい!
事例3.2階リビングの窓から四季の移り変わりを楽しむ
周辺が開放的な環境では、2階リビングから眺望を楽しむことができます。
季節によって変化する眺めから、四季の移り変わりを感じることができます。食事をしながら、コーヒーブレイクをしながら、お酒で乾杯しながら。時間帯によっても変化する眺めに暮らしの幸福度もアップしそうですね。
2階リビングの家は生活動線を慎重に考えよう
2階にリビングがある家は、日当たりや風通し、プライバシーなどの面でさまざまな恩恵が得られます。
階段移動や室温の上昇、家具の搬入などについて考える必要はありますが、住む人のライフスタイル次第では快適な生活が実現します。
老後のことを考えると、将来的な住み替えやリフォームを必要とすることがあるかもしれません。住宅選びは個々のライフスタイルや将来の計画に大きく依存するため、これらのポイントを総合的に評価することが重要です。
2階リビングを検討している方は、本記事を参考によりよい住まいづくりを目指してくださいね。