家を建てる際に「平屋か2階建てか」で迷う方は少なくありません。
それぞれにメリットがあるものの、どちらか一方を選ぶのは難しいと感じることも。そこで注目されているのが、一見平屋のような外観ながら、実は2階建てという間取りです。
平屋なのに2階建ての家は、平屋の快適さと2階建てのスペース効率の両方を兼ね備えている近年人気の住宅スタイルです。
本記事では、平屋と2階建てのいいとこ取りをしたこの間取りの魅力について詳しく解説します。また、実際の事例や価格相場についても触れますので、家づくりを検討中の方はぜひ参考にしてください。
「平屋なのに2階建て」ってどんな家?
「平屋なのに2階建ての家」とは、外観は平屋のようなデザインながら、2階建ての機能を備えた間取りの家を指します。
メインの居住スペースは1階に集約されており、リビングやキッチン、寝室などがワンフロアで完結します。ここに1.5階のスキップフロアや、少しコンパクトな2階を設けることで、さらなる居住スペースを確保できるのが大きな魅力です。
このような設計で共通するのは、ライフスタイルの変化に柔軟に対応する目的です。たとえば、子ども部屋を2階に配置すれば、子どもたちのプライベート空間を確保しつつ、1階では平屋のような開放感を維持できます。
また、1.5階のスキップフロアをホームオフィスや趣味部屋にすることで、家族のくつろぎスペースに影響を与えず仕事や趣味に集中できます。
このように、平屋と2階建てのメリットを兼ね備えた家では家族の成長やライフスタイルの変化に合わせた暮らしができるのです。
平屋のように見える2階建ての家にはメリットがたくさん!
平屋に見える2階建ての家には、住む人の生活を豊かで快適なものにするメリットがいくつもあります。
ここからは平屋と2階建ての特徴を兼ね備えた家のメリットを詳しく解説します。
メリット1.必要な居住スペースが確保できる
平屋のように見える2階建ての家は、1階にメインの居住スペースをまとめつつ、プラスアルファのスペースを確保できるのが大きな利点です。
家を建てるにあたって、多くの方は土地の制約に悩みます。限りある土地の中で、どのように快適な生活空間を実現するかという部分で妥協点が出てくることもあるでしょう。
平屋のように見える2階建ての家は、リビングやキッチン、寝室など、生活に必須なスペースは1階に集約するのが基本です。その上で、使う人が少ない部屋やいずれ使用頻度が低くなる部屋を2階にまとめられるので、土地を無駄にせず十分な居住スペースを確保できます。
メリット2.家族間のコミュニケーションが増える
居住スペースが1階に集約された家は、自然と家族と過ごす時間が増えます。
家族が顔を合わせる頻度が高ければその分コミュニケーションの機会も増え、家庭内の絆を深めることができます。夢のマイホームだからこそ、家のデザインや機能性と同じように、家族との幸せな生活も思い描いていきたいですよね。
仮に子ども部屋を2階に設けたとしても、食事やだんらん、登校・帰宅時は顔を合わせる必要があります。密にコミュニケーションを取れるのは家族の一体感を保ちやすく、親密な関係も築くのに最適な環境と言えるでしょう。
メリット3.移動の負担を減らせる
平屋のように見える2階建ての家は、階段の使用が最小限に抑えられるのも大きな魅力です。
とくに高齢者や小さな子どもがいる家庭では、階段の上り下りは少ない方が便利です。転倒やケガのリスクが下がるので、安心して過ごすことができるでしょう。
さらに、移動負担が少ない点は家事をする人にもありがたい利点があります。生活動線がシンプルになれば家事効率も高まるので、自由時間を確保できるメリットも生まれます。
メリット4.家事効率が上がる
1階にキッチンや洗濯室、リビングが集約されている家は、そうでない家に比べて家事効率が圧倒的に優れています。
メインの居住スペースが1階にあるので、家事動線を短くすることができます。重たい荷物を持って階段を上り下りしなくていいので、家事へのハードルを下げることにもつながるでしょう。
もちろん、2階部分の掃除も掃除は必要ですが、あまり使わない部屋であれば週一回、あるいは月1回と掃除の頻度も少なく済みます。
メリット5.ライフステージに合わせた使い方ができる
平屋のように見える2階建ての家は、家族のライフステージに応じて使い方を柔軟に変えられる設計になっています。
子どもが小さいうちは、家族全員が同じ空間で過ごしながら子どもに安心感を与えることが大切です。成長するにつれ自分のパーソナルスペースを確保しようとしますが、リフォームはそう簡単にできることではありません。
子どもが巣立った後は、客間や物置として活用することができます。スペースを余すことなく臨機応変に利用することは、家の劣化を防ぐことにも役立ちます。
将来を見据えて、必要になりそうなスペースを確保しておけるのは、平屋のように見える2階建ての家のメリットと言えるでしょう。
【実例】平屋のように見える2階建ての家4選
ここからは、平屋のように見える2階建ての外観と内部をご紹介します。
おしゃれなデザインと機能的な間取りを家づくりのヒントにしてください。
実例1.高窓で採光を確保。開放的な空間が自慢の間取り
一見すると平屋のような外観ですが、正面から見える高窓は1階リビングに設置されたもの。
高窓から十分な採光があり、明るく開放的な印象です。ガレージに面した窓も素敵で、住宅と自動車のショールームのよう!
2階にはワークスペースと子ども部屋があります。明るい雰囲気なので、仕事もはかどりそうです。秘密基地のような遊び部屋が子ども心をくすぐります。
実例2.スタイリッシュな外観とあたたかな室内が家族をお出迎え
スタイリッシュな外観のこちらの住宅も、平屋に見える2階建ての住宅です。
内部は床に段差をつけてリビングを一段下げるピットリビングを採用。小さな子どもや高齢の家族も過ごしやすい空間になっています。
ナチュラルな木目があたたかみのある雰囲気を演出し、家族を優しく出迎えてくれます。
実例3.和テイストの落ち着きある平屋風2階建ての家
一枚の大屋根が特徴的なこちらの住宅は、和風ならではの落ち着きある佇まいが魅力的。勾配をつけることで1階リビングを広く見せる効果があります。
室内も和テイストで統一され、温泉旅館を訪れたような雰囲気を味わえます。メインの居住スペースが1階に集中しているので、移動負担を最小限に抑えることが可能です。
階段をのぼるとスキップフロアがお目見え。2階は子ども部屋です。子育てが落ち着いたら、夫婦でゆったりと暮らすイメージができる間取りですね。
実例4.家事ラク動線を意識した間取りで理想の住まいをつくる
こちらの住宅の2階にあるのは子ども部屋だけ。将来は夫婦で平屋暮らしをするイメージで設計をお願いしたそうです。
メインで家事をする奥様と、書斎を持ちたいご主人の希望をどちらも叶えた間取りが自慢です。室内のいたるところに造作家具があり、こだわりがたくさん詰まった住まいであることがわかります。
平屋のように見える2階建ての家の相場は?
家の相場は地域や土地の広さ、設計によって大きく変動し、平屋に見える2階建ての家も例外ではありません。
たとえば、都市部と郊外では土地の価格が異なるため、同じ間取りでも費用には差が生じます。また、使用する建材や設備のグレード、設計の複雑さによってもコストは変わってくるでしょう。
一般的に、平屋に見える2階建ての家は総2階建ての家に比べて建築費用が抑えられる傾向があります。これは、2階部分が必要最低限のスペースにとどめられていることや、構造が比較的シンプルであるのがおもな理由です。
さらに、平屋のように見える2階建ての家には、将来的なリフォームや増築のしやすさといった利点もあります。ハウスメーカーによっては1,000万円台で建てられるプランもあり、安く家を建てたい方におすすめです。
周囲が2階建ての家ばかり…平屋は建てない方がいい?
周囲に2階建ての家が多いと「平屋を建てるのは避けた方がいいのでは?」と不安になるかもしれません。
確かに、周囲が2階建ての家ばかりだと採光やプライバシーの確保が難しくなる可能性があります。しかし、立地環境や工夫次第ではデメリットとなりうる要素をカバーすることが可能です。
採光やプライバシーについては、まずハウスメーカーや建築士に相談してみることをおすすめします。住宅や建築の専門家は、顧客の希望やこだわりを反映させつつ、周囲の環境に適した設計や配置を提案してくれます。
家づくりの過程ではさまざまな悩みがつきまといますが、専門家のアドバイスを聞いたり実例を見たりすることで不安が解消することも多いです。
平屋自体が素晴らしい設計なので、周辺環境だけを理由に選択肢から外してしまうのは少々惜しい気もします。家族が快適に暮らせる住まいを実現させるには、あらゆる可能性を考慮することが大切です。
平屋と2階建ての家で未来を見据えた住まいづくりを
平屋のように見える2階建ての家は、平屋と2階建ての両方のメリットを兼ね備えた理想的な住まいの形です。
土地の有効活用や居住スペースの確保、家族のコミュニケーション向上など、住む人の暮らしを豊かにする魅力がたくさんあります。ライフステージに合わせて柔軟な使い方ができるので、マイホームを長く快適に楽しむことができるでしょう。
本記事が、平屋と2階建てどちらにすべきか迷っている方の家づくりの参考になれば幸いです。