【外壁塗装】塗料の種類と選び方

外壁塗装をする上で、頭を悩ませるのが塗料の種類です。

ひと口に塗料といっても、その種類は実にさまざまです。「種類が多くどれを選べばいいかわからない」「費用は抑えたいけど耐久性も重視したい」など、塗料選びで迷われる方は多いことと思います。

そこで今回は、外壁塗装における塗料の種類と選び方のポイントをご紹介します。価格やグレード、耐久年数などでわかりやすく比較しているので、塗料選びでお困りの方はぜひ参考にしてください。

目次

外壁塗装をするなら|まずは塗料の種類と特徴を覚えよう

外壁塗装のリフォームをするにあたり、まずは塗料の種類とそれぞれの特徴を正しく理解する必要があります。

塗料の種類は大きく次の9つに分けられます。

スクロールできます
ウレタン塗料シリコン塗料アクリル塗料フッ素塗料遮熱塗料/断熱塗料ラジカル塗料光触媒塗料無機塗料ナノテク塗料
特徴柔軟性・密着性に優れた塗料価格・機能性・耐久性のバランスに優れた塗料9つの中でもっとも安価抜群の耐久性でスカイツリーの塗装にも採用暑さ・寒さ対策で快適な室温を保つシリコン塗料と同じ価格帯&耐久性・耐候性に優れるガラスやエアフィルターなど外壁以外にも使われる日本独自の技術主成分が無機物質なので苔や藻が繁殖しにくい最新技術を活用した次世代塗料
費用相場(1㎡あたり)1,700〜2,500円2,000〜3,500円1,000〜1,500円3,500〜5,000円遮熱塗料/2,000円~3,000円
断熱塗料/3,000〜4,000円
2,500〜3,000円3,500〜5,500円4,500~5,500円3,000〜5,000円
耐久年数5〜8年7〜10年3〜5年15年〜20年遮熱塗料/10〜15年
断熱塗料/15年〜
10〜13年15〜20年20〜25年10〜15年
メリット・安価である・強度が高い
・塗る場所を選ばない
・品数が多いので選択肢が広い
・防汚性が高い
・カラーバリエーションが豊富である
・安価である・耐久年数が長い
・耐候性が高い
・暑さや寒さに備えられる
・節電効果で環境に優しい
・耐候性が高い
・チョーキング現象を抑制できる
・耐久性が高い
・セルフクリーニングができる
・耐久性が高い
・美観を長く保てる
・環境に優しい
・セルフクリーニングができる
デメリット・耐久年数が短い・性能と価格が比例する・耐久年数が短い
・高頻度な塗り替えが必要である
・専用の下塗り剤が必要になることがある・塗膜が汚れると遮熱/断熱効果が下がる・商品数が少ない・施工には高い技術力が求められる
・色の選択肢が限定的である
・ひび割れしやすい
・専用の下塗り剤が必要になることがある
・対応できる業者が少ない

外壁塗装を検討している方の中には、できるだけ価格の安い塗料を選びたいと考える方が多くいらっしゃいます。そのお気持ちはよく理解できるのですが、安くても耐久年数が短ければ長い目で見た時に決してコスパがいいとは言えません

種類によっては色味や艶の有無を選べないものもありますし、お住まいの地域の気候によって最適な塗料も異なります。

以上の理由から、外壁塗装のご予定がある方はあらかじめ塗料の種類について知識を深めることが大切です。ここからは9種類の塗料の特徴や費用相場、耐久年数などをより詳しく解説していきます。

種類①ウレタン塗料

ウレタン塗料は価格帯が手頃で、外壁塗装の塗料として広く知られています。

ウレタン樹脂とアクリル樹脂を混ぜ合わせたもので、ひび割れしにくく傷に強いという強度が魅力の塗料です。伸びがよく密着性も高いことから、雨どいや軒天などの細かな部分の塗装にも用いられます。

費用は1㎡あたり1,700〜2,500円が相場です。耐久年数は5〜8年程度で、ほかの塗料に比べると耐久性が高くない点がデメリットにあげられます。

近年は価格帯がほぼ変わらないシリコン塗料の登場により、ウレタン塗料を積極的に選ばれる方が少なくなりつつあります。

種類②シリコン塗料

近年、もっともスタンダードな塗料として人気を集めているのがシリコン塗料です。

コストと耐久年数のバランスがよく、外壁はもちろん屋根の塗装に用いられることも多いです。塗料表面の密度が高いため汚れにくく、付着した汚れを雨水が洗い流すセルフクリーニング効果も備わっています。

シリコン塗料の価格は、1㎡あたり2,000〜3,500円と幅があります。機能性は価格に相当するため「シリコン塗料なら何を選んでも大丈夫」と安心はできません。

各メーカーから数多くの商品が製造・販売されているため、シリコン塗料を検討されている方は機能性と価格の両面で選ぶことをおすすめします。

種類③アクリル塗料

ウレタンやシリコン塗料の価格が高かった頃に、よく使われていたのがアクリル塗料です。

価格は1㎡あたり1,000〜1,500円ともっとも安いですが、耐久年数が3〜5年と短いのが難点です。長く住む予定がない、またはこの外壁塗装を最後に解体予定がある場合などは、アクリル塗料でコストを抑えられるでしょう。

シリコン塗料の改良や次世代塗料の登場により、近年は外壁塗装リフォームでアクリル塗料が使われる機会は少なくなりつつあります。

種類④フッ素塗料

フッ素塗料は高層ビルやマンションなど、頻繁に塗り替えできない建物に使われることの多い塗料です。

フッ素とカルシウムの化合物であるフッ化カルシウムを主成分とし、太陽光や雨風など自然環境の影響を受けにくいという特徴があります。その優れた耐候性から、東京スカイツリーの塗装にも用いられました。

長期にわたって変形・変色を防げるのがメリットですが、その分価格は1㎡あたり3,500〜5,000円と高めです。また、撥水という特性上、フッ素塗料の上から新たに塗装する際は塗料がうまくくっつかないことも。

もとの塗料をはじいてしまう場合、専用の下塗り剤を塗る手間がかかる点がフッ素塗料のデメリットとなるでしょう。

種類⑤遮熱塗料・断熱塗料

暑さや寒さ対策におすすめなのが、遮熱塗料と断熱塗料です。

よく似た名前なので同じものと勘違いされやすいのですが、両者には以下のとおり明確な違いがあります。

遮熱塗料断熱塗料
特徴太陽光に含まれる赤外線の吸収を防ぐことで室温を下げる。エアコンの稼働率を下げられるので、環境に優しく光熱費の削減にも有効。熱伝導を抑えることで室内の気温の変化を軽減する。外気の熱が室内に侵入するのを防ぎ、室内の熱を外に逃しにくい。
耐久年数10〜15年15年〜
費用相場(1㎡あたり)2,000円~3,000円3,000〜4,000円

遮熱塗料の特徴は、太陽光を反射して熱を遮る効果に優れていることです。外壁や屋根に塗装するだけで、室温を3〜5度下げる効果があると言われています。

暑さの厳しい地域に適していますが、室内をあたたかく保つ効果はないので冬に気温が大きく低下する地域にはおすすめできません。

これに対し、断熱塗料は暑さと寒さどちらの対策にも有効な塗料です。室内の気温を安定させられるので、一年を通して快適に過ごせるのが大きな魅力です。

補足ですが、遮熱塗料と断熱塗料で外壁塗装をすると補助金を給付してもらえる可能性があります。補助金の有無や金額は地域によって異なるので、気になる方は自治体に確認してみるのがいいでしょう。

種類⑥ラジカル塗料

シリコン塗料に代わる新しい塗料として、近年人気を集めているラジカル塗料(ラジカル制御塗料)。

耐候性と防汚性に優れており、光沢やツヤが長持ちするのが大きな魅力です。シリコン塗料とほぼ同じ価格帯ながら、耐久年数は2〜3年長く、2012年以降は各メーカーが新商品を多数開発しています。

ラジカル塗料には、チョーキング現象を抑制する効果が高いという大きなメリットがあります。(※塗料の顔料が粉状になって外壁の表面に浮き出てくること)

外壁は紫外線や雨水に長期間さらされると、塗装表面の劣化が進みます。外壁に触れると手に白い粉が付着することがありますが、これは外壁の劣化を示すサインです。

ラジカル塗料には、このチョーキング現象を抑制=耐候性を高める効果が期待できます。

一方で、新しい技術であるゆえ商品数が少ない点をデメリットととえる方もいます。リフォーム業者の中にはラジカル塗料を取り扱っていない場合もあるため、希望される方はあらかじめ業者に確認しておくのがいいでしょう。

種類⑦光触媒塗料

光触媒塗料は、優れた耐久性を誇る外壁塗料の一つです。

光触媒塗料に含まれる酸化チタンが、紫外線に反応することで外壁の汚れを分解。分解された汚れを雨水で洗い流すセルフクリーニング機能が備わっているため、外壁の美しさを長く保持できます。

耐久年数も15年と長めですが、価格帯は3,500〜5,500円と高めです。また、酸化チタンを多く含む塗料であることから、酸化チタン本来の白色が強く出やすい特性があります。(鮮やかで濃い色は出しにくい)

光触媒塗料はサラサラとした粘度の低い塗料なので、ほかの塗料に比べて高い施工技術が求められます。よって業者選びの際は、光触媒塗料の施工実績が豊富な会社に依頼するのがおすすめです。

種類⑧無機塗料

無機塗料は、ガラスや鉱石など紫外線に分解されない無機物質を主成分とする塗料です。

耐久性に優れ、長期にわたり美観を維持できることから、もっともグレードが高い外壁塗装の塗料と評価されています。耐久年数は20〜25年で、建物によっては30年近く状態を保持できるとも言われています。

無機塗料の費用相場は4,500~5,500円と価格帯も一番高いですが、長持ちすることを考えればコスパは決して悪くありません。湿気や菌の繁殖に強い特性は、湿度が高くジメジメしやすい地域に最適な塗料と言えるでしょう。

デメリットとしては、塗膜の硬さゆえにひび割れしやすい点が挙げられます。また、次に外壁を塗り替える際は無機塗料の塗膜をはがすか、専用の下塗り剤を塗るなどの手間がかかります。

種類⑨ナノテク塗料

医療や電子機器、環境エネルギーなどに活用されるナノテクノロジーを応用した塗料です。

樹脂をナノレベル(10億分の1)まで小さくすることで、外壁の耐久性を向上。塗膜に含まれるガラスの微粉末(微粒子シリカ)が汚れをブロックするので、美観を長く持続させられます。

塗料には多量の樹脂が含まれますが、ナノテク塗料は樹脂の使用量を最小限まで削減しています。樹脂の製造過程では多量のCO2が排出されているため、樹脂の使用量を低減=環境に優しい塗料と言えるのです。

最新の塗料ではありますが、広く普及していないので取り扱いのある業者は非常に少ないです。また、ほかの高性能塗料との違いがわかりにくく、費用対効果が不明と考える方もいます。

コスト重視の方向け|外壁塗料の選び方

ご紹介した9種類の塗料のうち、1㎡あたりの価格が安い塗料は次の通りです。

  • アクリル塗料(1,000〜1,500円)
  • ウレタン塗料(1,700〜2,500円)
  • シリコン塗料(2,000〜3,500円)

コストだけ見るならアクリル塗料がもっとも安いですが、長く住む予定の住宅ならばアクリル塗料は避けた方がいいでしょう。というのも、アクリル塗料の耐久年数はもって5年であり、数年後には再び塗り替えが必要になるからです。

同じ理由で、耐久年数が5〜8年と短いウレタン塗料もあまりおすすめできません。

外壁塗装には塗料だけでなく、足場の仮設工事や高圧洗浄、コーキング補修などの費用がかかります。外壁塗装の費用のうち塗料が占める割合は3割程度なので、塗料が安い方といって全体の費用が大幅に下がるわけではないのです。

費用と耐久性を総合的に判断するならば、費用を抑えたい方にはシリコン塗料が向いています。シリコン塗料に近い価格帯で、かつ耐候性や暑さ(寒さ)対策も重視したい方には、フッ素塗料や遮熱・断熱塗料、ラジカル塗料もおすすめです。

耐久性重視の方向け|外壁塗料の選び方

9種類の塗料のうち、耐久年数が長い5つをまとめました。

  • 無機塗料(20〜25年)
  • フッ素塗料(15〜20年)
  • 光触媒塗料(15〜20年)
  • ナノテク塗料(10〜15年)
  • ラジカル塗料(10〜13年)

耐久年数は気候や近隣の環境によって異なりますが、それを考慮した上でも一番耐久性が高いのは無機塗料です。その分価格も高めですが、生涯で外壁塗装をする回数を考えるならばコスパは悪くないでしょう。

フッ素塗装と光触媒塗装は、耐久年数・価格帯がほぼ同等です。どちらにすべきか迷った時は、両者のデメリットで比較をしましょう。

フッ素塗料の難点は、もとの塗料をはじいてしまうため専用の下塗り剤が必要になる点です。一方、光触媒塗料は鮮やかで色味の濃い外壁との相性があまりよくありません。

どちらのデメリットも受け入れがたければ、ナノテク塗料やラジカル塗料を選択肢に入れるのも一つの方法です。

外壁塗料の種類が豊富!それぞれの特徴を理解し最適な塗料を選ぼう

住宅の外壁塗装リフォームは、塗料の種類と特徴を理解することからはじまります。

大差がないように感じる方もいますが、選び方次第では本来の耐久性を実感できないことがあります。できるだけ長く効果を持続させるためにも、塗料選びは慎重に行ってください。

本記事が外壁塗装のご予定がある方のお役に立てますと幸いです。

この記事の監修者

小山田

小山田 剛

一級建築士事務所CoboLabo代表。 一級建築士兼、管理建築士。お客様のご予算帯に合わせた最適な建築・インテリア設計の提案を得意としている。

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この記事を書いた人

フリーランスとして活動するエクステリアプランナー。
2級エクステリアプランナー・インテリアコーディネータ―の資格所有。
住宅の外観から内装デザインまでを得意としており、自身の住宅デザインも手掛けている。

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