夢のマイホーム計画において、大きな迷いどころが間取りです。
注文住宅の間取りを考える時は、住む人のライフスタイルや生活導線をイメージすることが大切です。後悔のない家づくりをしたいとお考えの方のため、本記事では新築で人気の間取りを15つご紹介します。
家づくりの先輩たちから聞いた間取り決めでよくある失敗例もまとめましたので、マイホームを新築予定のある方はぜひ最後までお読みください。
家族・ファミリーにおすすめの間取り11選
3人以上の人が住む家は、家族全員が効率よく生活できる間取りを考える必要があります。
ここからは、家族・ファミリー向けに快適性を考慮した間取りをご紹介します。
【玄関】ウォークインシューズクローク
ウォークインシューズクロークとは、玄関横に作られる広めの収納スペースのことです。
玄関から靴のまま出入りすることができ、靴や傘、アウトドアグッズなどを収納するのに役立ちます。汚れたものを家の中に持ち込まずに済むので、小さなお子さんやペットがいるご家庭は外遊び用のおもちゃやペット用品を収納するのにも便利です。
こちらは福岡県北九州市にある工務店「Green Wood」が手がけた事例で、玄関横に広いシューズクロークを設けています。
これだけ広いスペースがあれば靴が増えても収納場所に困らず、気分や外出の目的に合わせて最適な一足を見つけやすいメリットがあります。シューズクロークを広めにとると、自転車やベビーカーなども収納でき、大変便利です。
シューズクロークと廊下をつなげる間取りにすれば、メインの玄関をいつでもきれいに保つことができ、急な来客があっても安心ですね。
【玄関】セカンド洗面
洗面台は風呂場の近くにあるのが一般的ですが、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに玄関の近くにセカンド洗面を希望する人が増えました。
セカンド洗面があると帰宅後すぐに手元を清潔にできるので、病気の予防や家の中をきれいに保つ効果が期待できます。
こちらは滋賀県甲賀市にある森工務店の施工事例です。セカンド洗面には手洗いを習慣化したり、来客時などに混雑を緩和したりするメリットもあります。
鏡をつければお出かけ前の身だしなみチェックにも役立つなど、セカンド洗面はいいこと尽くめです。
【リビング】吹き抜け
部屋を広く見せたり、開放感を出したい時の選択肢になるのが、上下階の間の天井や床を除き、空間を縦につなげる吹き抜けです。
ファミリーに吹き抜けをおすすめする理由は大きく2つあります。1つは家族間のコミュニケーションを取りやすくすること、もう1つは採光や通風がよくなることで住環境が快適になるためです。
1階リビングにいながら2階にいる子どもたちの話し声が聞こえると、子育て世代の親御さんは安心感が増します。吹き抜けで日当たりのいいリビングは家族の集合場所となり、団らんするのに最適な環境が整えられます。
こちらは岡山県にあるミナモト建築工房が手がけた住宅です。ダイニングに大きな吹き抜けを作ることで開放感を出し、子どもたちがのびのびと過ごせる空間が広がっています。
2階の手すりはホワイト&透明パネルの組み合わせで視線の抜け感にもこだわり、狭さはまったく感じません。家族がどこで何をしているか把握できる設計は、ファミリー層にぴったりの間取りですよ。
【リビング】小上がり&中和室
中和室はリビングと隣り合わせにある和室のことです。ファミリー向けのマンションで多く見られ、足腰の悪い高齢の家族や、小さな子どものいるご家庭におすすめの間取りです。
和室は必要ないと考える方もいますが、中和室の用途は単なる和室でははありません。赤ちゃんのいるご家庭ではプレイルームとして活用したり、来客時はゲストの寝室として使うのもいいでしょう。
普段は昼寝や読書部屋に使うこともできますし、戸を閉めてしまえば一時的な物置としても使えます。中和室はその時次第で使い道が広がる自由度の高い空間なのです。
小上がり風にすれば空間に立体感が生まれます。ちょっと腰をかけたい時にもちょうどよく、床に寝転ぶのに抵抗がある人もリラックスしやすいメリットがあります。
【リビング】回遊動線
キッチンやリビングを中心に、家の中を行き止まりなく移動できる間取りを回遊動線といいます。
回遊動線の間取りは、そうでない間取りに比べて圧倒的に家事効率がよくなります。空間に開放感が生まれたり、家族間の渋滞を避けたりなどメリットが盛りだくさんです。
こちらは福井県敦賀市の工務店「あめりか屋」が作成した図面です。ダイニング・キッチン・洗面室・ウォークインクローゼット・物干し部屋がすべてつながっていることがわかります。
洗面室や収納、洗濯物が人目に触れない間取りであり、かつ洗濯物はすぐ横のウォークインクローゼットに収納できる。キッチンから回遊できれば家事をしている間の移動距離も最小限におさえることができ、結果として時短にもつながります。
こちらは福岡県福岡市にある株式会社ネクストライフデザイン(ネクストの家)が作成した図面で、玄関から2方向への移動が想定されています。
帰宅後はシューズクロークで靴を脱ぎ、洗面台へ直行する家族目線の動線と、来客時にリビングへダイレクトに案内するゲスト目線の動線の2つの動線が考えられています。
【リビング】階段
近年、一般住宅でリビングに階段を設置する間取り(リビングイン階段)が人気を集めています。
リビングイン階段には、家族とコミュニケーションを取りやすいというメリットがあります。吹き抜けとの相性もよく、リビング全体が明るい空間となるため心地よさや快適性を重視する方にもおすすめです。
リビングイン階段は圧迫感が出そう…と考える方もいますが、スケルトン階段を選べばその心配はありません。(スケルトン階段…踏み板と骨組みだけで構成される階段のこと。段と段の間の板(蹴込み板)がないのが特徴)
「ただいま」「おかえり」のやりとりができるリビングイン階段。家族が顔を合わせる機会が増えるので、必然的に会話の回数も増えるでしょう。
【キッチン】横並びダイニング
家族と過ごす時間を充実したものにするなら、食事の取り方にも工夫が必要です。
キッチンとダイニングを横並びにする間取りは、料理や片付けをしながらコミュニケーションを深めることができる理想的な間取りです。
こちらは広島県内にあるハウスメーカー「創建ホーム」が手がけた注文住宅です。キッチンとダイニングを横並びに配する間取りはファミリーに人気があります。
先ほどご紹介した回遊動線の間取りとも相性がよく、料理・食事・片付けと家事効率も抜群です。最近のトレンドである「リビング学習」もしやすいので、子どもがいるご家庭はキッチンとダイニングを横並びにする間取りを検討してみてはいかがでしょうか。
【キッチン】対面キッチン
料理好きの方や来客が多いご家庭の場合、キッチンは対面式にするのがベストだと考えます。
リビングを見渡せる対面キッチンは、家族と話をしたり子どもたちの様子を見たりしながら料理をするのに最適です。テレビを見たり窓の外の景色を楽しみながら料理ができるのも、対面キッチンならではのメリットです。
対面キッチンにすると背面を収納として活用できます。壁付けのキッチンよりも収納スペースを広く確保できるので、調理器具や食材、食器類などをたくさん収納したい方におすすめです。
カウンター付きの対面キッチンは、おしゃれなレストランやバーのような雰囲気に。料理を味わいながら会話を楽しめる最高の間取りです。
【キッチン】パントリー
パントリーとは、キッチン近くの食材や食器などを収納するスペースです。
パントリーがあるのとないのとでは収納力に大きな差があり「収納で困った時はとりあえずパントリー」という使い方ができます。まとめ買いした日用品や非常用の備蓄品などもしまっておけるので、結果として家事効率アップや災害対策ができるメリットもあります。
こちらはキッチン裏にパントリーを備えた間取りです。収納力も高く、家事動線も優れています。
人から見えにくい配置にすれば、多少ものが増えてたとしても人目を気にする必要はありません。
【子ども部屋】間仕切り部屋
子どものいるご家庭や、将来的に子どもがほしいと考えている場合、悩みの種となるのが子ども部屋の数です。
マイホーム計画では何部屋作るべきか?部屋数を増やすことで予算オーバーにならないか?などの不安がつきまといますが、子ども部屋に関しては間仕切りがすべてを解決してくれます。
間仕切りは建物の内部の空間を区切るためのもので、今あるお部屋を二つに分けたい時に使います。
こちらは千葉県にあるリフォーム会社「株式会社グリーンランド(家CoCo)」が手がけたリフォーム事例で、一つの洋室を2つの子ども部屋に分けるリフォームを行いました。
単なる仕切りではなく、両面に本棚や洋服掛けとしての機能を備えた間仕切り兼造作家具として設計されているのがポイントです。プライバシーは守りつつ、人の気配が安心感につながるよう間仕切りは天井よりも低い設えとなっています。
【その他】ランドリールーム
家事効率を重視する方におすすめしたい間取りの一つに、ランドリールームがあります。
従来の一般的な日本の住宅は、洗面室に洗濯機を配置するのが一般的でした。ライフスタイルの変化とともに、近年は洗濯や衣類の収納、アイロンがけのスペースを独立させる間取りがトレンドになりつつあります。
洗濯機や乾燥機、衣類の収納スペースを一室にまとめることで、洗濯から収納までの作業をスムーズに進められます。こちらの画像のようにアイロン台を設置するのもいいですね。
汚れた靴や部活のユニフォーム、園芸道具、アウトドア用品と何でも洗えるのが魅力のスロップシンク。小型のペットならシンクの中でシャンプーするのもOKです。
ランドリールームを備える場合には、住む人のライフスタイルを想像しながら設置するものを考えるといいですよ。
二人暮らしにおすすめの間取り4選
続いて、二人暮らしにおすすめの間取りも紹介していきます。
1.平家
夫婦でのんびりと快適に過ごす住宅は、断然平家がおすすめです。
DINKsやシニア世代の家づくりでは、広さよりも立地や周辺環境、快適性を重視する方が多い傾向にあります。快適性という意味では、生活のすべてがワンフロアで完結する間取り=平家が最適です。
こちらはシンプルな1LDKの平家です。個室や趣味部屋を望まなければ、約20坪の広さでも快適なマイホームが叶います。
この間取りには在宅勤務のためのワークスペース(カウンター)が設けられています。
こちらの間取りはほぼすべての部屋を回遊できるのが特徴です。リビングを中心にどの部屋にもアクセスしやすく、足腰が弱くなるシニア世代が快適に過ごせる工夫がなされています。
2.回遊動線
コンパクトかつ家事効率のいい家づくりを目指すなら、回遊できる間取りはマストと言っても過言ではありません。
家事を効率よくこなすには、洗濯機を回している間に料理の下ごしらえをして、洗濯物を干し終わってから調理をはじめるなど2つのことを同時に進めることが大切です。
キッチンと洗面室が近く、回遊できる間取りであれば、家事のために発生する移動を最小限に抑えることができます。
3.趣味部屋
家づくりにおいて、自分だけの趣味部屋を持つことは最高の贅沢です。
こちらは三重県にあるハウスメーカー「ハウスクラフト株式会社」が手がけた注文住宅の一室です。好きなものに囲まれて過ごす空間は、日々の暮らしを一層豊かなものに変えてくれます。
趣味の釣りを楽しむための部屋。道具の配置やインテリアなど、すべてを自分好みにできるのが幸せですね。
こちらは愛媛県松山市にある新日本建設株式会社が手がけた注文住宅の一室です。
4.バリアフリー
年齢を重ねると、階段やちょっとした段差、高い位置にある収納などに不便を感じることが増えていきます。
シニア世代の家づくりでは、段差を減らしたり出入り口を広く取るなどバリアフリーを意識することが大切です。
こちらのトイレは車椅子のまま出入りできる広さが魅力。床は水の汚れや車椅子の走行による傷に強いクッションフロアにすることで、お手入れや補修による負担を最小限に抑えることができます。
バリアフリーを重視するなら、玄関の段差をなくしてしまうのも一つの方法です。段差のない玄関は外出時の移動が楽になるメリットがあります。
靴の脱ぎ履きは小さな椅子を置くと便利です。椅子を置くと玄関が狭くなってしまうので、このように壁に収納できる椅子を造作してもらうのも素敵なアイデアです。
間取り決めでよくある失敗例
家の間取り決めでよくある失敗例には次のものがあります。
- 収納スペースが足りない
- 部屋の広さがアンバランスだった
- ライフスタイルの変化に対応できない
- 家事動線が悪い
- 日当たりや風通しが悪い など
どんなに広いリビングでも、ものが散らかっているとおしゃれな部屋には見えません。
収納不足で困ることないよう、間取りを考える時は家族の人数やライフスタイルをイメージしながら収納スペースを確保することが大切です。
家事動線に関する失敗を防ぐには、いま現在の家事の流れと、それを改良するためにどうすべきかを考えるのがおすすめです。SNSにはおしゃれな家がたくさん投稿されていますが、同じにしたからといって自分の暮らしも快適になるとは限りません。
SNSは参考にする程度にとどめ、自分と家族の暮らしに合った間取りをじっくりと考えてみてくださいね。
家づくりで後悔しない!間取り決めは慎重に
家づくりで後悔しないためには、間取り決めを慎重に行うことが重要です。
収納スペースや生活動線、家族のプライバシーなどを考慮し、そこで暮らす人のライフスタイルに合った設計を心がけましょう。愛着を持ち、少しでも長く快適に暮らす家だからこそ、人生のライフステージを見据えた設計を意識することも大切です。
設計士やハウスメーカーなど家づくりのプロに相談しながら、快適で住みやすい理想の住まいを実現してください。