土地代が高い地域では、限られた土地面積の中でマイホームについて考えなければなりません。
狭小住宅は間取りの自由度が低いと思われがちですが、工夫次第では狭い家を快適でおしゃれな空間に変身させることができます。
「狭い土地でも理想の家づくりを叶えたい」
「参考になる事例が見たい」
このようなリクエストにお答えするため、本記事では狭小住宅の間取りの事例やプランを厳選して解説します。狭い部屋を広く見せるコツもご紹介するので、ぜひ家づくりの参考にしてください。
狭小住宅の間取り事例・プラン9選

全国の工務店やハウスメーカーが公開する狭小住宅の間取り事例・プランを9つご紹介します。
事例1.3階建て住宅で狭小地のデメリットを解消「GENIUS まちの空」(ミサワホーム)



画像引用:ミサワホーム
狭小地での家づくりは何かと制限が多いもの。そんな問題をクリアするのが、ミサワホームが展開する狭小住宅の商品「GENIUS まちの空」です。
厳しい斜線制限などにも柔軟に対応し、広い・明るい・安心の3つを叶えるデザインが魅力。大手ハウスメーカーのノウハウを存分に活かし、マイホームでの理想の暮らしを形にしてくれます。
このプランは1階に広々としたガレージ、2階に開放的なリビングがある間取りです。同一プランでバリエーションがあるので、狭小住宅でありながら自由度の高い設計が可能です。
事例2.建物間口の狭い15坪の家づくりはL字キッチンがポイント(ゼロホーム)

100年住宅で知られるゼロホームは、京都・大阪・兵庫・滋賀で注文住宅に対応するハウスメーカーです。狭小住宅の事例が豊富で、ホームページではさまざまな間取りが公開されています。
本記事では、建物間口が狭く、細長い土地を有効活用した事例をピックアップ。快適性と収納力が申し分なく、狭さを感じさせないアイデアが詰め込まれています。
この事例は、L字キッチンを採用することでゆとりある空間を演出しているのがポイント。料理中でも家族とコミュニケーションを取ることができる上、使い勝手を向上するための工夫も散りばめられています。
事例3.約10坪の敷地で叶える三層吹き抜けの家(FAR EAST)



画像引用:ハウスネットギャラリー注文住宅
こちらは東京の設計事務所「FAR EAST(ファーイースト)」が手がけた事例。地下1階地上2階建ての住宅で、建築面積は10.47坪、延床面積は25.65坪です。
床面積を広く取るために地下室を設けているのがポイント。直線的なデザインが際立つ都会的な外観とは異なり、リビングは落ち着きのある照明と木のぬくもりが心地よい上質な空間を演出します。
地下室から1階へのアクセスは、幅広なオープン階段を使用。見上げると三層分の吹き抜けが広がり、狭小住宅であることを忘れてしまうようなダイナミックな空間設計が印象的です。
事例4.狭さを感じさせない平屋は「海辺に建つ別荘」をイメージ(不二建設)



画像引用:不二建設
約20坪の土地に建つ平屋は、勾配天井によって広がりのある空間に。ナチュラルでセンスよくまとめられたインテリアに目が行くため、窮屈さを感じることはありません。
こちらの住宅はワンルームであり、自由きままな暮らしを叶えてくれる空間です。通気性と断熱性も保たれたシンプルな間取りには、オーナーの”好き”がたっぷり詰め込まれています。
事例5.7坪の敷地を有効活用した3階建て&屋上付き住宅(中鉢ホーム)



画像引用:中鉢ホーム
7坪という限られた敷地を最大限に活用した事例です。1階の玄関とトイレ、階段、洋室というシンプルな間取りは、子どもの独立時や二世帯住宅など将来を見越した活用を検討しているそう。
2階はLDKとバスルーム、3階には洋室があり、3人家族であれば快適に過ごせる広さが確保されています。3階の洋室は2つの空間に仕切ることができ、家族の年齢やライフスタイルに合わせて使い方を変えることも可能です。
こちらの住宅には約11帖ほどの屋上もあり、家庭菜園や憩いの場としても大活躍します。同じ空間でも柔軟に使い方を変えられるのは、狭小住宅に求められるアイデアです。
事例6.狭小地でも憧れのカーライフを楽しめるスタイリッシュなガレージハウス(都市工房)



画像引用:都市工房
狭小地は駐車スペースを確保することが大きな課題となりますが、1階部分をガレージにすることで憧れのカーライフが実現します。
1階にはガレージと階段、キッチン以外の水回りが集結。仕事や車のメンテナンスで汚れてしまっても、そのままバスルームへ直行できるメリットがあります。
2階はLDKとメイントイレのみのシンプルな間取りで、広々としたくつろぎスペースを確保。ダイニングとリビングを仕切るさりげない壁とアクセントクロスが、空間に適度なメリハリを作っているのもポイントです。
3階には2つの洋室があり、家族のプライバシーもしっかりと守られています。3階には2つのバルコニーも設け、スペースを余すことなく活用している間取りです。
事例7.親子で共通の趣味を楽しむ細長い二世帯住宅(ケイプラスアーキテクト)



画像引用:ケイプラスアーキテクト
3階建ての二世帯住宅に住む親と子が、共通の趣味である釣りを楽しめるよう設計に工夫が施された事例です。家族で食卓を囲み、世代を超えた会話を楽しめる空間が広がっています。
1階はガレージと親の部屋、2階はLDK、3階に主寝室と子ども部屋という間取りで、プライバシーもばっちりです。
子世代が使う3階は当面は広く使い、子どもの成長に合わせて仕切りを設置する予定。三世代が暮らす家は、ライフスタイルに合わせて柔軟に対応できる間取りになっています。
事例8.計7フロアで構成される間口1.75間のワンルーム狭小住宅(フリーダムアーキテクツ)



画像引用:フリーダムアーキテクツ
都心の狭小地に佇むこちらの事例は、合計7フロアで構成される3階建て住宅。玄関を開けるとまずはシューズクロークが広がり、スケルトン階段を登った先には収納力抜群のウォークインクローゼットがお目見え。
家全体がスキップフロアで構成され、LDKもリビングとキッチンダイニングでそれぞれフロアが異なります。スケルトン階段を使用しているので、どのフロアにいてもつながりを感じやすく、それでいて視線が窓の外に抜ける開放感も魅力です。
狭小住宅の悩みである収納は、スキップフロアという特徴的な構造を収納として活用する見事なアイデアです。屋上には目隠し壁付きのバルコニーもあり、周囲を気にせずにガーデニングを楽しめます。
事例9.約30坪で5人がゆったり暮らせる住まいを実現(セキスイハイム)

「家族が多いと狭小住宅は窮屈かも?」そんな不安を解消したのが、セキスイハイムのこちらの事例。可変性を重視した間取りによって、空間を柔軟に変えられるのが魅力です。
2階の洋室は、子どもの成長に合わせて壁を立てることで2つの子ども部屋に大変身。子どもが小さいうちは、リビング横の和室を見守りスペースとして活用できます。
玄関収納もゆとりがあり、家族が多くても人数分の衣類をたっぷりしまえる収納力が自慢。トイレも1階と2階に一つずつ用意され、大家族でもゆったり快適な生活が叶います。
狭小住宅のおしゃれで広い空間に見せるコツ

狭小住宅を広く見せるには以下のポイントを押さえることが大切です。
- 高窓や吹き抜けを設置する
- 仕切りを作らない
- デッドスペースを有効活用する
- 水回りを一ヶ所にまとめる
- 縦の空間を活用する間取りにする
ここからはそれぞれのポイントを詳しく解説します。
1.高窓や吹き抜けを設置する
狭小住宅を開放的で広々とした空間に見せる方法の一つに、高窓や吹き抜けがあります。
高窓はプライバシーを確保しつつ、採光を確保するのに有効な窓です。隣接する建物との距離が近く、大きな窓を設置するのに適さないような環境では、開放感と採光を得るのに高窓が役立ちます。
さらに、吹き抜けを取り入れることで、空間に垂直の広がりを持たせ、視覚的にも住宅全体が広く感じられます。2階建て以上の住宅では、縦の広がりを強調するために吹き抜けとスケルトン階段をセットで採用する方法も有効です。
床面積を広げることが難しい場合は、縦の空間設計をイメージすることで狭い印象を軽減させることができますよ。
2.仕切りを作らない
狭小住宅を広く見せるには、仕切り(壁)を極力減らすことが鉄則です。
開放感を出したいリビングでは、仕切りを設けずに1フロアをLDKとする大胆な間取りが理想的です。リビングとダイニングを分けたい場合は、家具やラグを使って空間を区切る方法をおすすめします。
バスルームや寝室などのプライベート空間以外は、できるだけ仕切りを少なくする間取りを検討してみてください。
3.デッドスペースを有効活用する
狭小地での住まいづくりは、限られたスペースを最大限に活用することが求められます。
収納場所を確保するのが難しい場合に役立つのが、階段下や窓際などのデッドスペースです。棚や扉を設置するのが難しくても、見せる収納としてスマートに整理整頓することができます。
デッドスペースを収納として活用するテクニックには、
- 小屋裏や床下を収納スペースにする
- 壁にニッチを設置する
- 小上がりの段差部を収納スペースにする
- スキップフロアをクローゼットにする
などの方法があります。
細かなスペースを無駄にしないよう、活用できそうな部分を収納として活用する方法をじっくりと考えてみてください。
4.水回りを一ヶ所にまとめる
水回りを一ヶ所に集約することは、狭小住宅での空間効率を高めるために欠かせないテクニックです。
キッチンやバスルーム、トイレを近接させることで配管がシンプルになり、メンテナンスが容易になります。水回りがコンパクトになると、節約したスペースをリビングや収納として活用でき、家全体の使い勝手も向上します。
5.縦の空間を活用する間取りにする
狭小住宅を広く見せるには、縦の空間にどれだけ広がりを持たせられるかが重要なポイントになります。
縦の広がりを意識すると、床面積はそのままに利用できる空間を増やすことができます。吹き抜けやスケルトン階段は縦の開放感を出すのに有効で、空間を広く見せたい場合は前向きに検討したいアイデアです。
スキップフロアやロフトも、縦方向の視覚的なつながりを演出するのに便利です。寝室や書斎としても使用でき、主要な居住空間を広く保つことができます。
高窓があれば採光も確保しやすく、生活の質を高めるとともにスタイリッシュで機能的な住まいを実現することができるでしょう。
狭小住宅の間取りに関する質問

狭小住宅の間取りについて多く寄せられるご質問をまとめました。
Q.狭小住宅とは何坪以下の家を指しますか?
狭小住宅とは、一般的に20坪(約66平方メートル)以下の家を指します。※基準は場所によって異なる場合があります
土地が限られている都市部などでよく見られる住宅サイズです。
Q.狭小住宅にはどんなデメリットがありますか?
狭小住宅には以下のデメリットがあげられます。
- 家具の配置や収納が難しくなる
- 家族間でプライバシーが確保しにくい
- 建物が密集している地域では部屋が暗く感じることがある
- 広い住宅と比較して不動産価値が低くなる
いずれも間取りや周辺環境によって異なりますが、家づくりで後悔しないためにはデメリットとなりうる要素を一つひとつ解消することが大切です。
狭小住宅は工夫次第で快適かつおしゃれな空間に変身する

狭小住宅の設計では、限られた空間を最大限に活用する工夫が求められます。
高窓や吹き抜けの、仕切りの削減、デッドスペースの有効活用など、狭い空間を広く見せるにはさまざまな方法があります。これらのアプローチを通じて、狭小住宅でも快適でスタイリッシュな住まいを実現する方法を探求していきましょう。
本記事が狭小地での家づくりを検討中の方のお役に立てますと幸いです。