インテリアを深く知るには、世界中で支持されている有名デザイナーの作品を見るのがおすすめです。
街中やネットでよく見かける家具が、実は著名なデザイナーの作品だったというのはよくあるお話です。長く愛され続けてきたインテリアの魅力を知ることは、自宅やオフィス、店舗の空間づくりにも役立つでしょう。
この記事では、有名インテリアデザイナーと彼らが生み出してきた素晴らしい作品をご紹介していきます。
有名インテリアデザイナーと作品一覧【日本人編】
日本でインテリアデザインの概念が一般に普及しはじめたのは、1960年頃と言われています。
当時、家屋の中を装飾する一般家庭はほとんどありませんでした。インテリアはどちらかというと美術工芸品としての位置付けであり、庶民が気軽に手を出せるものではなかったのです。
「上流階級の人だけが楽しめる特別なもの」だったインテリア。家づくりにこだわりを持つ政治家や実業家、文化人などは、家屋の設計や家具デザインをその道のプロフェッショナルに依頼するようになります。
その時に活躍していたのが、日本のインテリアデザイナーの第一人者たちです。
1960年代以降、日本のインテリア業界は著しい成長を遂げてきました。ここでは、日本のインテリア業界における激動の歴史をつくりあげてきた有名デザイナー7名をご紹介します。
①廣田リカ|英国インテリアのスペシャリスト
大阪市にある株式会社COLORHOUSEの代表取締役。独学で建築ライセンスを取得して会社を起業。
色彩計画と英国インテリアに精通しており、同テーマについて数々の企業や大学で講義を行ってきています。
また、創業70年の英国家具製造メーカー「IAIN JAMES」の家具をオーダーメイドで直輸入販売している日本唯一の会社でもあります。
英国インテリアの雰囲気がお好きな方には是非おすすめのデザイナーさんです。
②長大作(ちょう だいさく)|日本インテリアデザイン界の巨匠
1921年、中国東北部(旧満州)生まれの建築家・家具デザイナーです。
1945年に東京美術学校(現在の東京芸術大学)の建築科を卒業後、坂倉準三建築研究所に入社。外務大臣や自民党総務会長などを歴任した藤山愛一郎邸や、歌舞伎役者で人間国宝の8代目松本幸四郎邸の設計を担当しました。
1960年に発表した「低座イス」はグッドデザイン賞を受賞。日本の居住空間にマッチするとして、発売以降ロングセラーを続けています。
その後1972年に独立し「長大作建築設計室」を立ち上げます。和洋折衷の家具デザインを数多く手掛け、日本のインテリアデザイン界を長く牽引してきました。
③倉俣史朗|国際評価の高い革新的デザイナー
1934年生まれ。日本でインテリアデザインが一般に普及しはじめた1960年代から活躍しはじめます。
当時は店舗設計やウィンドウディスプレイなどを数多く担当。手掛けた作品がイタリアの建築雑誌「ドムス」に掲載され、世界的インテリアデザイナーの仲間入りを果たします。
1972年に毎日産業デザイン賞、1981年には日本文化デザイン賞を受賞。1990年にはフランス文化省芸術文化勲章も受章しており、国際的評価も非常に高いインテリアデザイナーです。56歳の若さで逝去するも、国内外のインテリア業界に大きな影響を与え続けています。
④内田繁|有名ブティックやホテルなど代表作は多数
1943年、神奈川県横浜市出身。
日本初のデザイン教育機関である桑沢デザイン研究所を卒業後、内田デザイン事務所を設立。2008年には同研究所の第9代所長に就任します。
内田繁の代表作には、ヨウジヤマモトのブティックや神戸ファッション美術館、ザ・クレストタワー(内部空間)などがあります。このほかホテル イル・パラッツォや門司港ホテル、札幌グランドホテルなども有名です。
⑤佐藤オオキ(nendo)|東京2020五輪の聖火台のデザインを担当
1977年、カナダのトロント出身でデザインオフィス「nendo(ネンド)」の代表。
アメリカの週刊誌Newsweek誌において「世界が尊敬する日本人」に選出。(nendoも「世界が注目する中小企業100社」に選出されています)
飲食店や店舗、百貨店など数多くのインテリアデザインを担当。内装のほか企業のブランディングや商品のデザインも手掛けています。東京とミラノに拠点を置き、海外でも大注目されている若手デザイナーです。
⑥吉岡徳仁|超一流インテリアブランドと契約
1967年、佐賀県出身のデザイナー・アーティスト。
世界的デザイナーの倉俣史朗のもとでデザインを学び、2000年に独立。ルイ・ヴィトンやエルメス、カルティエなどのブランドデザインを担当。ミラノサローネ国際家具見本市ではイタリアの有名家具ブランドと共同で新作を発表し、グローバルに活躍しています。
手掛けた作品は、ニューヨーク近代美術館など世界の主要美術館に永久所蔵されています。
⑦松本哲哉|空間デザイナー世界ランキングに順位入り
1976年、兵庫県出身の建築家・インテリアデザイナー。建築設計KTXアーキラボの代表を務める。
ベネフィットを生み出す建築設計を得意とし、飲食店やオフィス、クリニックなどの数々の内外装を担当。美しいだけでなく、クライアントの経営戦略をも設計するデザイン力が高く評価されています。
2009年のBEST STORE OF THE YEAR受賞を皮切りに、国内外で数々のアワードを受賞。世界的権威のある空間デザイン誌「Frame Magazine」主催のコンテストでは、審査員にも選任されています。
有名インテリアデザイナーと作品一覧【海外編】
続いて、海外で有名なインテリアデザイナーとその作品もチェックしていきましょう。
こちらでご紹介するのは、インテリアに興味関心のある方ならばきっと一度は見たことがあるかと思います。空間づくりや家具選びの参考にしてください。
①チェーザレ&ウンベルト・カッシーナ|高級イタリア家具メーカーの創設者
言わずと知れたイタリアの高級家具メーカーのカッシーナ。その創設者が、チェーザレ&ウンベルト・カッシーナ兄弟です。
創業当初、二人は手工業で家具を生産していました。その後、第二次世界大戦が終わり産業が活性化すると、徐々に外部デザイナーと共同で作品をつくりはじめるようになります。
カッシーナの家系は17世紀から続く木工職人です。その技術力とセンスが高く評価され、豪華客船や高級ホテル、レストランなど多数の内装デザインを担当しました。
カッシーナの名作・LC4は、大人のためのゆりかごとして時代を超えた今も人々を魅了し続けます。
②アイリス・アプフェル|ホワイトハウスのデザインを担当
アメリカ合衆国生まれのアイリス・アプフェルは、世界最高齢で今もなお輝き続けるインテリアデザイナーです。(2022年現在で100歳)
彼女の名前が一躍有名になったのは、アメリカ大統領の公邸であるホワイトハウスの内装デザインです。美術館や展覧会などのディスプレイも多数手掛け、夫のカールとともにメディアから常に注目され続けてきました。
二人は家具の修復会社を営んでいましたが、アイリスはのちにファッションデザイナーやテキスタイルデザイナーとしても活躍しています。
③ジョージ・ネルソン|「バブルランプ」「ボールクロック」のデザイナー
インテリアにこだわりがある方なら、誰しも一度はジョージ・ネルソンの作品をチェックしたことがあるでしょう。
もっとも有名なバブルランプは、さまざまな形をした球体から幻想的で美しい光が放たれるのが特徴です。ニューヨーク近代美術館に永久保存されており、日本でも多くのインテリアショップが取り扱っています。
また、文字盤ではなく球体で数字を認識させるボールクロックも、その特徴的なビジュアルから「ネルソンクロック」と呼ばれ親しまれています。
④チャールズ&レイ・イームズ|安価で快適な「イームズチェア」が人気
体にぴったりとフィットする座面が特徴的で、日本でも不動の人気を誇るイームズチェア。
アメリカ人のチャールズ&レイ・イームズ夫妻が手掛けた作品で、安価ながら強度が高い椅子として一躍有名になりました。シンプルで美しいデザインと収納や手入れのしやすさから、発売開始から70年以上経った今も多くの人々に愛され続けています。
有名デザイナーの作品からインテリアの歴史を学ぶ
インテリアデザインは、デザイナーの名前よりも作品の印象が強く残ります。
有名デザイナーの作品は、街中いたるところにあふれています。意識して見ることでインテリアをより身近に、そして今まで以上に魅力的なものと感じられるでしょう。
「インテリアデザインの知識を深めたい」「有名デザイナーの家具を使いたい」など、インテリアに関心を持たれた方は、出かけた先にある家具や内装をじっくりチェックしてみてください。