3階建ての家はやめた方がいい?メリット・デメリットを知って後悔のない家づくりを

3階建ての家の設計書

都市部でマイホーム計画を立てる場合、限られた敷地を最大限に活用するために3階建ての家を検討する方が増えています。

3階建ての家はコンパクトな土地でマイホームが叶うメリットがありますが、住みはじめてからデメリットや欠点に気付いたという方も多いようです。せっかくのマイホームはできるだけ理想に近く、快適で住みやすい場所にしたいですよね。

そこで今回は、3階建ての家のメリット・デメリットを詳しく解説します。後悔のない家づくりを実現するためのポイントも紹介するので、マイホーム計画で3階建ての家が選択肢がある方はぜひ参考にしてください。

目次

3階建ての家のメリット

3階建ての家には次のメリットがあります。

  1. コンパクトな土地でマイホームの夢が叶う
  2. 1階をガレージにできる
  3. 景観がいい

それぞれのメリットを詳しく解説します。

メリット1.コンパクトな土地でマイホームの夢が叶う

3階建ての家を建てる一番のメリットは、限られた敷地を最大限に活用できることです。

狭小地や変形地でも、空間を縦に有効活用することで快適な住環境を確保できます。開放感のある空間設計は、3階建てならではの魅力です。

また、コンパクトな土地は費用も抑えられるので、都市部の高価な土地価格に対応しながら、予算内で夢のマイホームが実現しやすくなります。

メリット2.1階をガレージにできる

狭小地に3階建ての家を建てる場合、1階を駐車スペースにする設計が選択肢の一つとなります。

1階を駐車スペースにすると、荷物の出し入れや悪天候の日の移動が格段に便利です。ガレージには自転車やアウトドア用品などを収納できるので、汚れやすいものを家の中に持ち込まずに済むメリットもあります

狭小地でのマイホーム計画は駐車場が悩みの種になりやすいですが、3階建ての家なら近隣の駐車場を契約する必要がなく、マイカー問題もすんなり解決するでしょう。

メリット3.景観がいい

3階建ての家は、高い位置からの眺望を楽しむことができる点が大きな魅力です。

とくに、周囲の建物や街並みを一望できる都市部では、豊かな景観がゲストの褒められポイントになります。屋上をルーフバルコニーにすれば、プライバシーとリラックススペースの両方を確保できます。

自然の多い立地であれば四季の移ろいも感じることができ、自然と調和した生活も実現できるでしょう。

3階建ての家のデメリット

続いて、3階建ての家でデメリットとなりうる要素も見ていきましょう。

  1. 建物内で温度差が出やすい
  2. 採光が取りづらい
  3. 移動の負担が増える
  4. 家具の搬入が難しい
  5. 法規制を考慮する必要がある
  6. 外壁と屋根のメンテナンス費用が高くなる
  7. 揺れやすい

それぞれのデメリットを詳しく解説します。

デメリット1.建物内で温度差が出やすい

3階建ての家は、各階で温度差が生じやすい点がデメリットにあげられます。

夏場は最上階が暑くなり、寒い季節は1階が冷え込みやすくなります。また、オープン階段を採用すると冷暖房効率が低下し、光熱費などのランニングコストが高くなるリスクも考えられるでしょう。

建物内の温度差を少なくするには、断熱材や空調設備にこだわるのが有効な方法です。ただし、高性能・高品質のものを選ぶと、その分初期費用は高くつきます。

建物内の温度差は周辺環境や風土にも大きく影響されるので、どの程度の温度差が想定されるかはハウスメーカーに相談すると安心です。

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デメリット2.採光が取りづらい

3階建ての家は、隣接する建物や周囲の環境によって低層階で十分な採光が得られない可能性があります。

とくに、都市部や住宅密集地では隣の建物が影になってしまうことが多く、1階や2階の部屋が暗くなりがちです。採光が取りづらい室内は日中でも照明が必要となり、結果として光熱費が高くなる恐れがあります。

日当たりが不十分な室内は生活そのものにも影響を与えるためそのため、設計の段階で窓の配置や採光計画についてしっかりと考えなければなりません。

デメリット3.移動の負担が増える

家の階層が増えると、当然ながら階段を上り下りする頻度も増えてしまいます。

階段の移動は小さな子どもや高齢の家族がいる家庭では大きな負担となり、安全面でも一層の注意が必要です。将来バリアフリーのリフォームを検討する場合も、平家や2階建の家に比べて費用が高くなる可能性も考えられます。

日常的な移動負担を軽減するには、生活動線を考慮した間取りを念入りに考えることをおすすめします。また、同居する家族の人数やライフスタイル次第では、エレベーターの導入も検討するのがいいでしょう。

デメリット4.家具の搬入が難しい

3階建ての家を建てる場合、注意しなければいけないのが大型家具や家電の搬入ルートです。

平家や2階建ての住宅では、家具を搬入するのに玄関や1階にある大きな窓を経由するのが一般的です。3階建ての場合は階段が狭い、曲がり角が多いなどの理由で家具の搬入が困難になることがあります。

そのようなケースでは家具をクレーンで吊り上げて搬入させる方法がありますが、特殊な手段であるため追加コストが発生します。また、家具の買い替えや引っ越しの際にも同様のコストがかかることは、3階建ての家のデメリットとなるでしょう。

デメリット5.法規制を考慮する必要がある

3階建ての家は、平家や2階建ての家ではあまり気にすることのない法律の制限を受けることがあります。

たとえば、軒高9mまたは最高高さが13mを超える建物は建築基準法の定めによって構造計算適合判定を受けなければなりません。

同様に、最高高さが10mを超える場合も日影制限の対象となることがあります。(制限の厳しい地域では軒高が7mを超えると日影制限の対象となります)

このほか、非常用進入口の設置や容積率、排煙計算などの法規制を遵守しなければなりません。3階建ての家を建てるにはこれらの法律や地域の条例に同意する必要があり、場合によっては希望する間取りやデザインが実現できない可能性もあるでしょう。

このデメリットを解消するには専門的な知識が求められるので、建築士やハウスメーカーに相談しながら法規制をクリアする設計を考える必要があります。

デメリット6.外壁と屋根のメンテナンス費用が高くなる

3階建ての家は、平家や2階建ての家に比べて足場の設置や外壁の範囲が増えるため、施工やメンテナンス費用が高くなる傾向があります。 

高所作業は専門業者による施工が必要であり、人件費も加算されます。外壁や屋根は10〜15年に一度の修繕が推奨されるので、その都度かかる費用を考えるとメンテナンス費用は決して安くありません。

将来的にかかる費用を安く抑えるには、メンテナンスフリーや耐久性の高い外壁材を選ぶのがおすすめです。初期費用とランニングコストを計算した上で、安く済む方法を選ぶのがいいでしょう。

デメリット7.揺れやすい

地震大国と呼ばれる日本では、耐震性の高さを重視した家づくりが必要です。

3階建ての家は構造上揺れを感じやすい上、最上階では揺れが加速します。住む人の不安を減らし、安全で快適に暮らすためにも耐震性に優れた設計や工法を採用しなければなりません。

地震以外にも、3階建ての家は風の影響を受けやすく、強い風が吹くと家の揺れを感じることがあります。建物自体が細長い、あるいはビルトインガレージの家は、そうでない建物に比べて揺れやすいことを理解する必要があるでしょう。

地震や強風による揺れを対策するには、制震装置や耐震壁を導入する方法があります。

3階建ての家は高い?ハウスメーカーの商品と価格

観葉植物とお金

3階建ての家に興味がある方のため、ここからは3階建ての住宅商品をご紹介します。

ハウスメーカーや代理店の販売価格も表示しているので、費用の参考にしてください。

1.ヘーベルハウス|築浅&鉄骨造のスムストック住宅

画像引用:ストックヘーベルハウス

こちらは埼玉県三郷市の閑静な住宅街にある3階建ての一般住宅です。大手ハウスメーカー「ヘーベルハウス」が手がけたスムストック住宅で、敷地面積は166.00m²(50.21坪)、建物面積は208.04m²(62.93坪)と十分な広さがあります。

開放的なリビング。シャンデリアやアクセントクロスなど、こだわりがつまった空間です。
3階建ての家は採光の心配がありますが、こちらの住宅は吹き抜けの高い位置に窓を設置することで室内の明るさが保たれています。
1階のビルトインガレージには2台分の駐車スペースがあります。

都心へアクセスしやすい築浅物件ということで、販売価格は8,600万円とやや高めの設定です。LDKは20畳以上、駐車スペースも2台分完備されている優良物件です。

2.泉北ホーム|3階建てのフル装備の家「メジャーパッケージ」

画像引用:泉北ホーム

近畿地方で注文住宅・新築一戸建ての設計・施工を手がける泉北ホームには、2,000万円台で3階建ての家が建てられるプランを用意。

耐震等級3級や二重屋根通気工法、高耐久シーリング材などの仕様が標準装備され、品質とコストパフォーマンスの両方を叶える内容が自慢です。自由設計なので、住む人のライフスタイルに合わせた家づくりが実現します。

泉北ホームの3階建て住宅は、大阪府下の施工棟数が14年連続1位と実績も十分です。(3階建て2×4工法注文住宅部門)

間取りの一例。自由設計なので、賃貸や建売では実現できない理想のマイホームが叶います。
家族全員分の衣類を収納できるファミリークローゼット。収納力を重視したい人におすすめです。
泉北ホームでは建築費用だけでなく、ランニングコスト削減にも力を入れています。

3.株式会社建築システム|狭小3階建て「トリプルステージ」

画像引用:株式会社建築システム

狭小地でのマイホームをお考えなら、狭小地の新築戸建てに強いハウスメーカーを選びましょう。株式会社建築システムは、静岡県内でローコスト住宅を手がけるハウスメーカーで、設計力と技術力が高く評価されています。

狭小地の3階建て住宅に特化した「トリプルステージ」は、ビルトインガレージと屋根裏ロフトを有効活用した間取り、そして優れた採光計画が高く評価されています。

商品グレードはエスティア・ベルスタ・ハイレフィンの3つに分かれ、予算やこだわりに合わせて選べるのが特徴です。ホームページではグレード別の価格表も公開されているので、3階建ての家を建てたい方の参考となるでしょう。

ライティングがおしゃれな3階建て住宅。狭小地でも理想やこだわりを諦める必要はありません。
ブラックのガルバリウムがスタイリッシュな印象に。3階建ての家は高さがある分、迫力も満点です。
坪数とグレード別の価格表。資料請求をすればグレードごとの特徴がチェックできますよ。

4.クラシスホーム|趣味を楽しむ3階建ての家

愛知県名古屋市にあるクラシスホーム株式会社が手がけたこちらの住宅は、1階の面積が49.25㎡、2階が49.50㎡、3階は47.50㎡の計146.25㎡(44.24坪)と広さが自慢。

物件の本体価格が2,261万円と比較的リーズナブルながら、趣味や仕事部屋もしっかりと確保しています。完成現場見学会などのイベントも定期開催されており、3階建ての家を体感できるのも嬉しいポイントです。

クラシスホームでは耐震等級3級・ZEH対応・60年の長期保証など、持続可能な家づくりにも力を入れています。

2階LDKは白を基調としたやわらかな配色で清潔な印象に。ホワイトやアイボリーには空間を広く見せる効果もあります。
リビングにはカウンターとヌックを設置し、住む人の理想を叶えた間取りに。
夢のマイホームには趣味部屋もほしい!玄関から土間続きの部屋を趣味部屋としました。

3階建ての家づくりを成功させるコツ

3階建ての家づくりを成功させるには、デメリットとなりうる要素を一つずつ解消していくことが大切です。

以下に具体的なポイントをまとめました。

  • 建物内の温度差対策として断熱材や空調設備にこだわる
  • 各階にエアコンを設置する
  • 天窓や吹き抜けから自然光が入りやすいようにする
  • 階段の設計を工夫する
  • 高齢または体の不自由な家族がいる場合はエレベーターの導入を検討する
  • 制震装置や耐震壁を導入するなど

3階建ての家は法律の制限を受けやすいため、知識と経験が豊富な専門家に相談しながら間取りを考えるのが賢明です。信頼できる建築士や施工業者を見つけられれば、理想のマイホーム計画を成功させることができるでしょう。

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まとめ

住宅の屋根と青空

3階建ての家には、限られた土地を有効活用しながら広々とした住空間を確保できる魅力があります。

採光や移動の負担、建築の法規制など注意すべき点はありますが、信頼できるハウスメーカーを見つけることでさまざまな問題点をクリアできます。

3階建ての家を建てたいと考える方は、デメリットとなりうる要素を一つひとつ解消していくことが大切です。快適で安全な住まいは、その先に実現できるものです。

マイホーム計画で3階建ての家が選択肢にある方は、本記事を参考に理想のマイホームを手に入れてくださいね。

この記事の監修者

小山田

小山田 剛

一級建築士事務所CoboLabo代表。 一級建築士兼、管理建築士。お客様のご予算帯に合わせた最適な建築・インテリア設計の提案を得意としている。

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この記事を書いた人

フリーランスとして活動するエクステリアプランナー。
2級エクステリアプランナー・インテリアコーディネータ―の資格所有。
住宅の外観から内装デザインまでを得意としており、自身の住宅デザインも手掛けている。

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